大根と王妃~名残恋の思い人~
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発行者:大雪
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/01/31
最終更新日:2015/09/15 01:43

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大根と王妃~名残恋の思い人~ 第1章 噂話
 まさかこの国の女性の頂点たる王妃がそんな事をする筈がないという先入観からか、姫君達は果竪の素性に気づくことなく歩を進めていく。

 だが――

「あら、見てあの子」
「泥だらけだわ」
「なんて見苦しい姿をしているのかしら」
「本当に。視界に入るのも許し難いわね」

 別の部分で彼女達を不快にさせたらしく、口々に嘲笑う声が聞こえてきた。
 しかし、それも自分が王妃であるとバレる事に比べれば可愛いものだろう。
 そう思う事で、果竪は自分を落ち着かせた。

 あと少し、あと少しで彼女達はすれ違ってくる。
 だが、姫君達は中々立ち去らない。

「そういえば王妃様も泥遊びが好きだとか」
「何でも畑を耕しているらしいわね。おお嫌だ!」
「この国の女性達の頂点に君臨する方だというのに、下等な民草と同じ事をするなんて」
「これでは王妃様付きの方達も大変ね」
「どうして廃されないのかしら? あの方よりも王妃様に相応しい方は沢山いらっしゃるというのに」
「たとえば、明燐様とか?」

 姫君達が一斉にクスクスと笑い出す。

「明燐様ならば何の不満もないわ!」
「そうよ、申し分のない最高のお方よ! あの方ならば王妃様として頂くに相応しい方ですもの」
「羞月閉花、雪膚花貌、妖姿媚態と名高い凪国一の美女であり、宰相閣下の妹姫」
「その上、聡明で機知に富み文武両道で」
「侍女長として働くお姿も本当に凛として美しい……それこそ全身から気品が滲み出ていますわね」
「あら!宰相閣下の妹姫に相応しい高貴さも兼ね揃えていますわ!地位も身分も申し分ありませんし」
「それでいて嫌みなところもなく……ああ、きっと傾国傾城とは明燐様のような方を言うのですわね!」

 明燐こそが王妃であればと悔しがる姫君達の言葉が果竪に突き刺さる。

 今まで何度も耳にしてきた言葉だ。
 直接、間接問わず、耳に蛸が出来るほど聞いてきた。

 全ては、醜い娘が分不相応な地位についてしまった罰。
 美しく有能すぎる人を夫として持ってしまった自分の罪故の事。

 今更悲しむ事ではない。

 そう諦めていたが、それでもこうして心の準備をしない状態で聞かされるのは苦しかった。
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