大根と王妃~名残恋の思い人~
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発行者:大雪
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/01/31
最終更新日:2015/09/15 01:43

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大根と王妃~名残恋の思い人~ 第3章 哀しみの朝
「…………」

 果竪はその場にうずくまる。

 誰もが言っている。
 果竪ではなく、明燐が陛下の妻であれば良かったと。
 美しく気高く頭の良い明燐ならば確かに素晴らしい王妃になっただろう。

そう……何も持っていない自分が唯一出来る筈だったにも関わらず、出来ないそれすらも……

跡継を産むという事も出来たはずだ

 果竪は唇を噛みしめる。

 建国して間もない頃に医師に言われた言葉。

 貴方は子供を産むことが出来ません

 それは女性としての機能の問題ではない

 産めば死ぬのだ

 力のありすぎる夫婦が決して乗り越えられない今も続く問題

 夫の力を受け止めきれず、夫の力を受け継ぐ子供を支えきれず

 死んでしまう

 今現在、その事を知る者は果竪の他にはいない。

 そもそも、大戦以前は力の差がありすぎる夫婦自体が殆どいなかったからだ。
 だから知っているのもごく僅かであり、果竪の周りには誰も居なかった。

 そしてそれを果竪は知らせるつもりはない。

 知らせればきっとまた夫は同情し、自分の幸せを逃してしまうから。

「……あの人なら、産んでくれるかな」

 夫が連れて来た女性と夫の力の差は知らないが、自分に比べればマシだろう。
 自分は平均的な神よりも力が弱いのだから。

「それに……私との間の子よりもずっとずっと優秀な子が産まれるよね」

 萩波の後を継ぐには、それなりの優秀さが求められる。
 そんな優秀な子を、沢山必要なのだ。

 王が後宮を持ち、沢山の子供達を為すのはそういう子供達を沢山作る為という意味がある。
 また、以前に比べると改善してきたが、子供が死にやすく跡取りが居なくなるのを防ぐためだ。
 でなくとも、神における子供の出生率は低い。

 沢山の妃が必要なのも頷ける。

 自分達のように、妻が一人なんてとんでもない事だ。

「でも……私の場合は子供も産めないし……やっぱり去るべきだよね」

 王妃の地位からの退位に加えて、姿すら消した方が良いだろう。
 下手に残れば、萩波や新たな王妃を苦しめかねない。

 果竪はグシグシと涙をぬぐい、立ち上がる。

 そろそろ、明燐達が起床を促しに来る。
 果竪は洗面所に向うと、冷たい水で顔を洗った。
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