大根と王妃~名残恋の思い人~
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発行者:大雪
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/01/31
最終更新日:2015/09/15 01:43

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大根と王妃~名残恋の思い人~ 第3章 哀しみの朝
 翌日、果竪は寝不足の眼でぼんやりと明るくなった部屋を見た。
 あの後、厨房に寄ることなく部屋に戻ったが、その後も全く眠気は訪れなかった。

 萩波は女性を自分の室に連れていったのだろうか?

 そして、自分にするような事をしたのだろうか?

 周囲から幼い幼いと言われる果竪だが、男女の関係を知らぬほど幼くはない。
 既に人妻であり、当然そういう事もしているのだ。

 もともと性欲にはかなり疎い方だが、それでも好きな人に抱きしめられると体は反応するし嬉しくなる。
 それと同じ思いを、あの女性を抱いた萩波は感じているのだろうか。

 貴族の姫君達の話では、萩波とあの女性は知古だと言う。
 それも、かなり深い関係にあったとか。
 たぶん、自分が萩波に拾われる前の事だろう。
 大戦中、帰る場所を失い独りぼっちになった自分を拾う前に萩波の側に居てその心を癒し……

 そして何かがあって別れた。

 納得ずくだったのか、それとも引き離されたのか

 けれど……

「あんなに綺麗な人……」

 あれほど美しくたおやかな女性と再会すれば、再び恋愛感情が蘇ってもおかしくない。
 昔と同じように、いや、昔よりも更に激しく燃え上がる恋情。

 二人はお似合いだった

 姿形だけではない

 まるで最初からそうなるべくして産まれたかのように二人並び立つ姿は美しく

 果竪は自分の存在だけが異端に感じた

 いつまで経っても醜いアヒルのまま

 醜いアヒルは大人になれば美しい白鳥になるのに、自分は大人になっても灰色の汚い鳥のままだ

 そして心まで醜い

 果竪は女性に嫉妬していた

 自分の居場所を取られたような気がした

 だが……すぐに、我に返る

 萩波を日頃から遠ざけているのは自分のほうだ

 なのに、それで別の女性に目を向けるなという方がおかしい

 どんなに優しくしてもつれない妻に愛想を尽かして、自分を愛してくれる女性と幸せになる

 それは当然の事ではないか

 萩波の心を先に突き返したのは自分だ

 自分は相応しくないから

 自分は何も与えてあげられないから

 自分には支えられるだけの力はないから

 自分は、自分は、自分は――!!

 所詮、同情と哀れみから妻にされただけの存在なのだ

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