大根と王妃~名残恋の思い人~
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発行者:大雪
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/01/31
最終更新日:2015/09/15 01:43

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大根と王妃~名残恋の思い人~ 第1章 噂話
 柱の陰から音もなく姿を現わした朱詩に、女官長は溜息をついた。

「相変わらず厳しいね、君は~」
「あなたは相変わらずチャランポラとしてますね」

 大戦中からの付き合いのせいか、一切の遠慮がない彼女に朱詩は苦笑した。
 その気の強さが好ましいとは思うが、この分では嫁のもらい手は絶望的だろう。
 しかし以前にそれを伝えて半殺しにされた経験から、自分の心の中だけに仕舞っておく。

「貴方も暇でしたら王妃様の捜索に加わりなさい」
「明燐もだけど、君も相変わらずの果竪馬鹿だね~」

 このキツイ性格に加え、キツメの美貌が災いし最初の頃は中々皆に馴染めなかった。
 そんな彼女に無条件で懐き、仲間達に入るきっかけを作ったのが果竪だった。
 それ以来、女官長の果竪への溺愛っぷりは明燐に優るとも劣らない。

 まあ、キツイ性格もようは照れ隠しと極度の恥ずかしさの裏返し。
 ツンデレよりもレベルが高いツンツンツンデレなタイプだったりする。
 果竪に対してはデレデレだが。
 しかし本人は絶対に認めない。

「私は女官長として王妃様の身の安全を確保しようとしているだけです」
「それは侍女の役目だって」

 侍女と女官。
 どの国でもその扱いと待遇が一緒にされやすい職業だが、凪国では全く違う仕事内容を持っている。

 すなわち、侍女は後宮など王族の私生活の空間において、王や王妃を個人的に世話をする者達で、女官は侍女達とは別に後宮のその他の雑務を行い、公的な場との橋渡しを行う。

「それぐらいは分かっております。やるべき仕事をやった上での事です」
「はぁ~~……ってか、別にほっといてもそのうち出てくるって」

 ちょっと息抜きに出かけたぐらいで此処まで大騒ぎをされれば、流石の果竪も気が滅入るだろう。
 それを思えば、朱詩は見逃してやりたいと思った。

「……朱詩」
「何?」

 女官長がにこりとその妖艶な美貌に笑みを浮かべた。
 それだけで、朱詩はこの聡い女官長が気づいた事を悟る。

「じゃあ、僕は忙しいから」
「この私から逃げ切れるとでも?」

 ガシッと肩を掴まれ、朱詩は捕獲された。
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