大根と王妃~名残恋の思い人~
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発行者:大雪
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/01/31
最終更新日:2015/09/15 01:43

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大根と王妃~名残恋の思い人~ 第1章 噂話
 建国から五十年が経ち、少しずつ安定してきた国々。
 しかし喉元過ぎれば熱さ忘れるのも、この時期だった。

「果竪、果竪!」
「明燐様、こちらにもいらっしゃいませんわ」

 配下の侍女からもたらされる報告に、明燐が麗しい顔を歪ませた。

「全くあの子は……」

 外には出ていないだろうが、姿が見えない事に焦燥が募る。
 早く連れ戻さなければならない。
 特に遠征で王の居ない今、王妃に何かあれば一大事になる。

「仕方ありませんわ。手の空いている侍女や女官達に果竪を捜すように通達を」
「御意」
「本当に何処に行ったのかしら……果竪、いい加減に出ていらっしゃい!!」

 語気を強め颯爽と去る明燐に、配下の侍女達はすぐさま散った。
 反面、雇い入れられて間もない侍女や官吏達はしばしその姿に見とれていた。
 流石は凪国一の美女と名高い侍女長。
 その凛とした美しさに、初めて見た誰もが彼女こそがあの麗しい国王の妃だと信じた過去を持つ。

 だが、それはすぐに大きな落胆となった。
 本物の王妃の登場によって。

「明燐様の方が陛下に相応しいのに」

 ポツリと誰からともなく呟かれた思い。

 明燐様の方が美しいのに

 明燐様の方が気品があるのに

 明燐様の方が聡明で機知に富んでいるのに

 明燐様の方が陛下の隣に立っても恥ずかしくないのに

 あんな醜い落ちこぼれ王妃よりもずっとずっと――

「何をしているの!」

 ハッと振り返ると、女官長が立っていた。
 明燐の信頼厚い同僚でもある彼女は、棒のように突っ立っていた下級侍女達を睨み付ける。

「侍女長様からの命を聞いていなかったの?」
「そ、それは」
「言い訳は聞きません。すぐに職務を全うしなさい!!」

 厳しい叱責に、その場に居た侍女達が蜘蛛の子を散らすように散っていく。
 下級官吏達も遅れるようにしてその場から逃げ出した。

「全く……」
「相変わらずだね~」
「朱詩」
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