ビター☆スマイル
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発行者:秋星
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/01/13
最終更新日:2011/01/21 15:19

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ビター☆スマイル 第2章 春が来た
「おっちゃん、今日も眠そうだね」

話しかけたのは一匹の犬。撫子の家のコリー犬だ。

血統書付きの彼には大そうな名前があるらしいのだが、もはや誰も覚えてはいない。

家族の皆からは「おっちゃん」で通っている。

いや、母だけが彼のことを「オードリー」と呼んでいる。

きっとそれが正しい名前なのだろう。

でも、オスなのに女優のような名前は少しかわいそうな気がして、撫子は「おっちゃん」と呼んでいる。

『同類相憐れむ』ということなのかもしれない。

撫子の場合、女の子なのに男の子として育てられた。

兄も弟もいるわけで。

ましてやたった一人の娘と言えば、普通なら『蝶よ花よ』と可愛がられるものなのではないのだろうか。

もとい。

大事にされなかったわけではない。

父は厳しいが撫子に辛く当たるということは一切ないし、兄も勉強を教えてくれたり、一緒に遊んでくれたり、とても優しい。

一つ違いの弟に到っては、いつも撫子の後を追ってきて、未だにシスコンの気が抜けないのが気になるくらいで。

そう。十分大事にはされているのである。

だから、不満など本当はないと言ってもいいくらいなのだが、やはり普通に育てられたかったという思いは残る。

しかし、中学二年にもなるとなんかどうでもよくなったというか、もうどっちでもいいような気がして撫子は自分が男だとか、女だとか考えないようになった。

中学一年の時に、隣町の不良と喧嘩して帰ってきた時の母の震えるほどの怒りを目にして以来、母だけには逆らわないようにしようと誓った。

だから、母の言うとおりにスカートを履いて学校にも行き、部活も文芸部とおとなしめのを選んだのだが……。
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