イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
第1章 イルバシット
星は、静かに答えた。
星の声は耳から聞こえる物ではなく、肌から染み込んで心に届くようなもの。
理解には時間がかかる。
ガルダは目を閉じ、星の声を受け取ろうと心をかたむける。
心の揺れが収まった時、星の声はガルダの中に入って来た。
キキ様は一度亡くなった。
新しいキキ様は、ラキリス王が扉を叩いて起こすまで、安らかに眠ります。
その眠りは、苦痛ではない。
悲しむのは愚かなこと。
マーキス王は、姉の眠りを理解します。
星の声は、そこで終わった。
ガルダは、マーキス王にマラガ石の力を話し、キキ様が病気や、策略で眠ったままになった訳ではないと説明した。
マーキス王は、分かったと言ったまま、苦しげな顔をしたが、すぐに頬を緩めてくれた。
「姉は、苦しんではいないのか?誰かに眠らされたわけでもないんだな?」
「はい、安楽な眠りを楽しんでおられます。ラキリスと言う王の名は、まだいぬ王か、マーキス様の名を私が聞き間違えたのかはっきりとしません。星の言葉はすぐに止みました。これは、吉兆です」
「安心していいのか?」
「はい、ただし、アルカザンの陰は、当分きえないでしょう」
「アルカザンは、アルカザは盟友だ。助けねばならない。旅立つ戦士達に何か頼めないか?」
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