イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「ガルダか。我が王子は、姫と共にもどるだろうか?少しみてはくれないか?」

ガルダは声を掛けてきたキラ・ザードのほうに向き直り、跪いて、答える。

「キラ様、助言はないが得策でございます。未来を知ることは、往々にして不幸なものなのです」

「そうだな。でも、我妻は、息子が帰るのを待てないかも知れない。王座はどうでもいい、息子が姫を連れて帰るかだけ、教えてくれ」

ガルダは、キラが旅立ちの時の事を思った。

ラゴン家の王子がすでに王座についていて、キラはザード家に戻っていたのだった。

旅立ちはしなくても良かったのであるが、彼は旅立ちを望み、カルタゴの娘と共に帰った。

大らかな心を持った、槍の使い手だ。


「お覚悟がおありなら、お話しいたします」


「もちろんあるさ。そう聞いただけで、王座につくのは無理のように聞こえるな」


ガルダは、キラの顔を見て、彼の妻の病気を思った。

「分かりました。しばらくお待ちを」


ガルダは温泉の水に手をかざし、キラの未来に集中した。

彼の妻、旅立つ王子の姉。

そして…

「キラ様、奥様は、お孫様にお名前をお付けになられますよ」

「本当か?娘の産んだ子ではないのか?」

「いいえ、ゾラ様の王子です。どうやら双子らしい」


ゾラという本当の名前は、まだ本人も知らないはず、キラは涙が伝うのを感じていた。


「ありがとう、ガルダ。これで、妻を励ます事が出来るよ」

「お言葉には及びません」

キラは空に目を向け、涙の乾くのを待っているようだった。

キラが去ると、ガルダは湯浴み用の薄絹に着替えて泉の中心に向かった。

力の集まる所、もう一つのマラガ石がこの下に埋まっているのだ。

キキ様は、ここにも来たのだ。

二人の王子と共に。

力のある者がここに立ち、紫の丘のマラガ石に触れたのだ。

その力が解放されても不思議ではない。

おそらく、未来ばかりでなく、過去の事も感じているかもしれない。


これで、キキ様の深い眠りのわけも理解出来る。

マーキス様にどう告げるべきか?

キキ様の心の疲れを、どう話たら理解してくれるだろう。

ガルダは、これといった策も浮かばないまま、昼の空にあるはずの星に聞いた。

星は、ガルダの心の声にこたえるだろうか?
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