イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
キキは慌てて目を開けた。

キキの膝の上に、寝てしまった王子の頭が二つ乗っかっていて、とても幸せだ。

キキは、自分も居眠りをして、悪い夢を見たんだ。

そう結論づけてしまった。

本当に自分の心が苦しみに死んでしまうなんて、その時感じることは出来なかったのだ。


しばらくすすみ、大きな赤い石が見えて来ると、道には小石が多くなりガタガタと揺れ始めた。


トルカザは目を覚まし、すぐ近くにある赤い石に興味を示した。

「おばあ様、あれはキリガス山に落ちた石だよ。ここまで転がって来たんだね。内緒で見に行ってみようよ」

トルカザは、アルナスに聞こえないように、耳打ちした。

トルカザは、敷きたりに従わない、悪い子なのだ。

王には向かない。

「そうね。少し見るだけよ」

「うん内緒だよね」

キキは、御主の若者に石の横に止めて待つように言った。

寝言を言うほどなよく寝ているアルナスを座席に座らせ、膝掛けを掛けると、キキはトルカザの手を取った。

そしてキキは石に近づき、かけらを持ち帰る事に成功した。

キキは、これで、夫の病は治ると喜び、さっきの悪い夢の事は、もう思い出さなかった。







「アルナス、キニラの滝よ。ほら見てごらん」

キキは、アルナスを揺り起こした。


アルナスは、寝ぼけて馬車から降りると、その凄まじい音と水しぶきに、驚きの声をあげた。

アルナスは、本当は起きていた。

けれど、二人を止めるのが格好悪い事に思えて、言い出せなかった。

何も起きなかったからいいけど、僕は王になる者として失格だ。

二人を守れなかった。

アルナスは、降り注ぐ水しぶきに紛れさせ、涙を流した。

見上げる滝は、イルバシット山の山肌の隙間から、下を目指して降り注いでいた。

下を流れる川は、滝の下から始まっている。

凄まじい光景が、山の裏側に隠れているなんて、思いもよらない事だった。

アルナスは、不安に思うよりも、この滝のように、強く美しくなりたいと思って、滝のしぶきに打たれていた。

「二人とも、そろそろ行きましょう。帰ったら、泉につかりましょうね」


キキは目的を果たし、王子達も楽しんでいた。


来て良かった。

キキは、満足の笑顔で二人を見つめた。

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