イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
紫の丘は、釣り鐘草の群生地で、この季節には、丘のすべてが紫に染まる。

その中を、虹色のバッタが飛び交うので、あたりは虹の中に居るように七色に染まるのだ。

キキはしらない。

ここが、イルバシットの星読みに力を与える地の一つであることを。

キキの力が大きくなれば、確実な未来を知る事になる。


そして…恐らくは、その重圧に耐えられなくなり、キキは心を閉ざす事になる。

誰も知らない、不幸な出来事が、今おきようとしていた。



「二人とも、バッタを潰してはいけませんよ。さぁ走っていらっしゃい」

キキは、危機があまりに大きくて、それを感じる事が出来なかった。

胸騒ぎがしたものの、それは、さっきのトルキナスの姿が見えないせいだと理解した。


「おばあ様、綺麗な岩があるんだ。名前があるの?」

アルナスが言った。

「さぁ、この辺りに、名石があるとは聞かないけれど。綺麗な石が多いところだから」

キキは、危険に近づいて行った。

「ほら、透明な石に、バッタが映って、すごく綺麗だろ?」

そこには、普段は土に隠れているはずの授感石、マラガが顔を出していた。



飛来石の落ちた時の振動と、夕べの雨で久しぶりに顔を出したのだ。

イルバシットの星読み、ビダ家の当主が息子に力を授けるとき、掘り起こした以来のことだっだ。


「まぁ本当ね。なんて綺麗なんでしょう!後で王様に聞いてみましょう。いい季節に来たものだわ」

キキは、石に触れたが、何も感じなかった。

力は、キキの心の裏側で、呼ばれる時を待つように、大人しく眠っていたのだ。

「さぁ、みんな、最後のお楽しみ、キニラの滝に行くわよ。馬車に乗りなさい」

王子達は、元気に返事をして、馬車に乗り込んだ。

「今日はありがとう。あなたも競技大会に出るんでしょうに」

キキは御主の若者を労った。

しかし彼は、私は花嫁の共なんです、と答えた。

何も感じなかった。

キキは少しおかしいと思ったが、目的に近づいた緊張のせいだと解釈した。


馬車に乗り込むと、キキは少し目を閉じた。


するとすぐ不思議な声が聞こえて来た。

弟マーキスのような、父ローダのような、不思議で悲しげな声だ。

…キキが死ぬわけがない。あんなに元気いっぱいに帰ったのに…


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