イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
旅人の泉は、その名の通り、旅をするすべての人々に解放されている。


夏になれば、若い戦士達で賑わい、これから少しの間は、たくさんのキャラバン隊が疲れを癒しにやって来る。

まだキャラバンには早いから、泉には、わずかな人影があるだけだ。

しかし、キキはその中に、見覚えのある顔を見ていた。


トルキナスの一人だ。

名前は思い出せないが、キキの結婚祝賀会の時、祝いを捧げてくれた戦士に相違ない。

弟も、さるもの。

ただでは城門の外に出してはくれないんだと気がついた。



しかし、キキは自分の有利さに変わりないのを知っていた。

彼には、飛来石の知識が無いのだ。

アルカザと、マーキスが仲がよいせいで、二人の予定は今日も一杯だ。

アルカザの気がそれていれば、キキの有利は動きようはなかった。


キキは、泉の岸辺で火を熾し、お茶を入れた。

御主の若者と二人の王子に湯呑みを渡し、持って来たお菓子を切り分けた。

お菓子を食べると、二人の子供は、また走り出す。


雲が流されると、夏の訪れを感じさせるほど気温はあがった。

「おばあ様、上着を脱いでもいい?暑くなってきたよ」

しばらくすると、トルカザがキキの近くに駆けてきて言った。

彼の優れている感覚。



変化を読み取る能力は、生まれもっての力である。

キキは頷き、上着を受け取った。


アルナスも直ぐに上着を預けに駆けてきた。

わずかな差だが、明らかにトルカザが優れている。

しかし、キキは、トルカザの欠点も知っていた。







「そろそろ別の景色を見に行きましょうか?紫の丘よ」

キキは笑顔で御主の顔を見た。

近くにある花畑だ。

男の子のお楽しみもちゃんとある。

七色に光るバッタが、花の蜜を吸いに来るのだ。


そこは、近いけれど、イルバシットの国境の外側で、どの国にも属さない亜境界地域である。




この辺りには、まだまだ至る所に、亜境界地域はたくさんある。

多くは、川辺や、泉のほとりで、旅人の為に解放されている。

元は、何かの問題を抱えている土地なのだと言う言い伝えもあった。

しかし、どちらにせよ、ラスカニアもイルバシットも、自分のものにしないことが、より良いと考えているのは確かだった。

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