イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「王子達。早くおいでなさい。ミルク紅茶が来たわよ。山羊のミルクがとても美味しいの」


四人は、それは素早く着替えを済ませ、偽りの笑顔を顔に張り付けると、元気に部屋を出た。

「おばあ様!いつも言ってた山羊の紅茶だね」

「さあ!少し落ち着いて、お座りなさい。もうすぐ夕焼けが見えたら寒くなるの。その前に、温かい物を飲むのがイルバシットの習わしよ」

沈んでいた二人の心は、甘い香りの紅茶に、ほどけていった。

頑張れば、良くなれる。

僕達が変えるんだ。

トルカザは、アルナスの言葉を心の中で繰り返した。









「二人が私の息子なら、私は迷うかも知れぬ。アルナスと話をした時は、王となる子だと思った。しかし、トルカザは、アルナスとは違う、上にたつ者の資質を持っているようだ。本当に楽しみな事だな」


アルカザは、複雑な表情で、微笑みを浮かべる。

「アルナスは、明晰な頭を持っているが、人の言葉を聞きすぎる。トルカザは、人の心を掴むのはうまいが、後を考えない。どちらも、まだ未熟者です。ならば、学び励むしかありません。私はその中で、力をつかんだ方を選びます」

「とても難しいことだな。私には今も後悔が顔を出す。しかし、決めねばならないなら、柔らかい心を持つことだ。柔らかい心からはきっと、正しい道が見える。決断とは常に、捨てることではなく、与えることだ」


「そうですね。与えることだと、心に刻んでおきます。私は息子達を幸せにするため、日々を過ごしているんですから」

二人の王が見つめる夕焼けは、どこまでも紅く、美しかった。







イルバシットで過ごす三日の間に、キキの様子は、目立って明るくなった。

アルカザは、それがサントルキシアの力なのだと感じていた。

本当は、もう帰る予定を過ぎている。

しかし、キキが元気になって行く様子を見ていると、アルカザは少しくらい遅くなっても構わないと、日程を伸ばしていた。


もしもアルカザが、日程の通り帰っていたら、アルカザンの未来は、もっと明るいものとなっていただろう。







「マーキス。少し、森の散策をさせてやりたいわ。誰か戦士をつけてちょうだい。明日くらいしか、もう間もないでしょうから」


姉キキの希望だった。

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