イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「私と同年代の王子達は、みな子供を旅立たせた、今決断するのが一番いいと思う。私の代で終わりではないんだから」

「そうね。それがいいわ。メラノにも負担がかかるから、それが伝統だし、歴史になるのよ。あなたは残念に思うかも知れないけれど、周りの人々は、あなたの決断に敬意をはらうはずよ」



二人で空を眺めているうちに、架かっていた虹が二つに分かれ、雲を染めた。


「なんて美しい。これは吉兆に違いないわね」

マーキスは、不吉な事など、両国の間にあるわけはないと、まだ話を続けているキキを急かして、庭に出るのだった。

庭には、百合と、釣り鐘草が咲き乱れ、甘い香りが満ちていた。


「あぁ、やはり王子の遊ぶ姿をみると、少し羨ましいな。深い意味はなくて、姫達が可愛くてしかたないんだが」

「……。賽の目と同じよ。マーキスのせいじゃないわ。あなたなら悪い方には行かないと、神はそう思ったのよ」

「私は、星読みに誉められたのか?」

「そうね。そうよ、あなたは立派だもの。あなたのこの決断で、ラゴン家は長く尊敬されることになるわ」


年の近い姉との会話は、マーキスの中の小さな後悔を消したようだ。

もとより目にはみえないほど小さな後悔だ。



彼は、もう宣言してしまった。

任期がすんだ後の事だ。

後十五年の猶予期間を待たずに、他の家の王子に、次の王座を譲る事を。

メラノと結婚して十五年、四人の姫達の親になったが、とうとう男の子は生まれなかった。

後十五年、ラゴン家には王座を継ぐ者を決める権利があるが、もし男の子が出来なかったら、メラノの心は深く傷つくだろう。



私はいつも思う、自分なら、どこの誰かも分からない奴の手を取るんだろうか?

私はメラノが私の手をとってくれたことに感謝していた。


本当は王子だと言うことを隠していたのに。

私は、メラノを幸せにしたいと思う。

だから、王座は他家に譲ろうと決断したのだ。






この国を守るのは、過酷だから、王座には男子が座る。

その法則は正しいと思う。

しかし、いつかもっと平和が日常になったなら、女王の誕生の日も来るかも知れない。

王となったものが、一度は考える理想である。

だが今出来るのはまだ、戦士達の旅の安全を祈る事のみである。

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