イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
それでも、他国の侵略を免れてきた大いなる理由は、大胆な石の使い方や、地道な防御策にある。

子供の頃、小さな国のたゆまぬ努力を目にして、なぜだか偉大さを感じて来た。

ラスカニア国王になってからは、初めての訪問だが、心の中は、あの時と変わってはいない。

そして、後ろの馬車から聞こえて来る、母と妻のため息のような歓声を聞いていると、家族を連れてきて良かったと思えるのだ。


国王の宮殿を目指して、広い中央通りを馬車はまた動き出した。

通りの両側には、商店が並んでいるが、今は、私達の為に花が飾られ、正装の剣士が剣を捧げ持っている。


我が国も小国だが、それと比べても、圧倒的に人口は少ないはずだ。

その中からこれだけの数の、精鋭を育てるのは、並みの条件では不可能だろう。

しかし、ここではそれがなされている。

この国の成り立ちに、秘密があるのだ。

結束が堅いのは、国民の多くが血縁でつながっているからであり、戦士が育つのは、厚い待遇があるからだ。

母は、旅を始めた三つの家のうち、ラゴン家の姫だった。








その昔、三人の兄弟は、王国を守る騎士の家で生まれた。

彼らの母親は貴族、父親は第三王子である。

私は、イルバシットの成り立ちを、そのくらいしか知らなかった。

彼らが、外に向かって説明する範囲の事であった。


これから先は、母親が、口を滑らせた内容だ。

兄弟が成長し、伴侶を探す年になったころ、エジプト王家にクーデターが起きた。

兄弟の祖父に当たるエジプト王は、王座を失い、偽物の血筋だという烙印をおされた。


正当なエジプト王家の血筋が守られる事を信じ彼らは、新天地を求め、旅に出たのだ。

彼らは、いつの日かエジプトを奪い返す事を目標にしている。

強い団結は、そう言う、国の成り立ちから生まれている。

しかしそのエジプトとも今では、条約を結んでいるのである。

イルバシットは、今重大な別れ道の上にいるということだろう。







美しい城は、他の国とは違い、白い石の二階建てだ。

この高い山に、石を運ぶには、やはり限界があるからか。

あるいは、狭い大地を、王族や貴族が占領しない為の気遣いかもしれない。

どちらにしても、城は大きくはなく、宮殿と言った方が当たっている。

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