イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
俺が少し下を向くと、親父は、母さんと話すか?と聞いた。

俺は、母さんに親父との話を聞くのは恥ずかしかった。

「ニキに聞いてみたいと思ったんだけど、表で会って聞きそびれたんだ。やっぱり、話してみようかな」

「あぁそれがいい。ニキは、食堂の娘だというし、ラザも何も言わないけれど、あの子はきっと、貴族の娘だぞ。今は身に付けていないが、宝石の首飾りや、金の鎖をたくさん持っていたよ。その子が、ラザの手をとってくれた。父親として嬉しい事だよ。もしも、二人ともイリシャ人だったら、きっとニキはラザの嫁にはならなかったろうな。俺はそう思うよ」

俺は、いろいろなことを理解出来た。

ニキは美人ではないのに、すごく美しく感じるのはどうしてなのか。

自然に敬意を払って来たのはどうしてなのか。

そして、ラザが先に寝てしまった訳もなんとなく分かった。

旅立ちの時、どんな気持ちだったか、覚えているからかな。

今日俺は、たくさんの人から真心をもらった。

さっき親父に諭された時、涙が出たのも、そのせいなんだ。

大切な物が、ここにはたくさんある。


イルバシットの若き戦士たちは、こういう大切な物をたくさん持って、旅に出るんだ。

気がついて良かった。

明日キサに会ったら、礼を言わなきゃ、そして、今日感じたことを、話して聞かせたい。


「父さん、必ずいい旅にするよ。そして、キサと二人無事に帰って来る。いろいろ話してくれてありがとう」

俺は、勇気があるうちに、ニキのいる台所に顔を出した。

ニキは、母と父の食の用意を始めようとしている。


「ニキ。少し話を聞いてくれないか。旅立ちが不安なんだ」

俺は自分でも予期していない言葉を吐いた。

旅立ちが不安だなんて、思った事もないのに。

ニキは、頷いて、テーブルの椅子を指した。

「やぎのこうちゃ。おいしいね。今つくるからそこ」

俺は、ラザにも礼を言わなくちゃならないな。

あのいびきは、きっと寝た振りだ。

俺が家の中で気を遣わなくて済むように、姿を現さないんだ。

俺の胸は、どきどきと高鳴った。

ひと月の旅が、俺にくれるものの大切さに、また涙を飲んだ。

「じるざ、へんなかお!どうしてふあん?」


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