イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
リャウドはなぜ、こんなことまで話したんだろう。

まだ、俺の事を王子だとでも思ってるのかな?

それとも、少しは信頼してくれたんだろうか。


リャウドは、俺達の父親位の年で、黒髪が灰色になり始めている。

賢くて、頼りになる。

話はしても、余計なことは言わない、理想的な召使いだ。

俺が微笑みかけると、にこりとして、きっといい旅になりますよとつけたした。







僕が一人でいれば、アルナスは、必ず接触して来る。

だから、バルサンの誘いは断った。

アルナスは、多分、口外する気はないんだと思う。

その気なら、とっくにバルサンに話しているだろう。

ならば、アルナスの目的はなんだ?

僕はそれが知りたい。




朝の食事は、バルサンと共に済ませた。

彼は、僕の顔色を伺ったが、何の疑いも持っていない。

胸は痛んだが、僕は告白する気はなかった。


庭を借りて、剣を振っていると、思ったとおりアルナスが話しかけて来た。


「おはよう。夕べは休めたかい?」

アルナスは、涼しい顔で、僕の目の中を探る。


「もちろんですよ。野宿が原則ですから、暖かい寝台が恋しくないわけありません」


「それは良かったよ!私の相手が疲れていたんじゃ、面白さも半減してしまう」

「その上、贅沢な朝食を。ごちそうさまでした」

「いや、そんな礼などいらない。それより、君は、腰帯を代えないのかい?」

いきなり聞かれ、アルナスの覚悟と、誠実さが伝わった。

生まれたときから王子だとしたら、僕もはっきりと物を言う人間になったんだろうか?

「腰帯ですか?僕は、二、三枚しか持って来ていないので、そうそう取り替えられないんですよ」

「確かに白いのは、城でつけるにはいいけど、普段の生活では、汚れが着きやすいものね。なるほどそういうわけか」

黙るのは、負けを意味する。

だから僕は、しゃべり続けることにした。

「確かに、汚れは着きやすそうですね。白は、王族の色ですが、親が御守りとして、シエラ家の方に借りたのでしょう。父はトルキナスだから、そんなわがままが許されたのだと思います。僕は、王族の一員と言うわけではないので、誤解の無きよう」

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