イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「弟がどうして自分のせいだと思ったのか、私には分からないんだ。でも、言葉を受け取ったせいだと言った事があった。おばあ様の遺言の事ではないと思う。それなら家族はみな知っているからね。聞いても言わないし、かと言って、もうすぐ成人を迎える弟を世捨て人のようにしておく訳にはいかないんだ。力を貸してくれ」


俺は、得意ではない思案をめぐらせたが、アルナスの頼みに答えを出すことは出来そうもなかった。





ネストは、上の空で剣を振りながら、困りきった顔のバルザンの背中を見ていた。

しかし、父親からの手紙のことがいつまでも心に引っかかっていて、振り切る事が出来ずにいた。



バルザンが気を失った時のことだ。

僕は水で彼の頭を冷やそうと思い、自分の荷の中を探す事にした。

荷物の中には確か布も入れたはず、僕はそう思い、アルナスの前ではあったが、自分の荷を解いた。

腰帯はすぐに見つかり、僕はそれでバルザンの頭を冷やした。

水も布も、彼らが用意してくれていたのたが、僕は、自分でしたかったのだ。


その時、荷の中に見覚えの無い袋を見つけた。

両親が、金か、トルキを持たせてくれたのかと思い、揚々とした気持ちで開けてみた。


確かに、想像の通り、小さな袋の中に、トルキが入れてあった。

自分の想像したよりも、少し大きくて、美しいトルキだ。

僕の為に、少し無理をして、用意してくれたんだ。

僕は嬉しくなって、手紙の続きを読んだ。

いい旅をとか、可愛いお嫁さんをとか、そんな文面を想像した。

しかし、実際の文章は、目にしたくはない内容だった。

一番つらかったのは、尊敬していた父親と、遠く離れるような気がしたからだ。

そして、大好きな母に、もう甘えられなくなったからだ。

まだ、バルザンには言えない。

この旅の間は、対等でいたいから。

でも、荷を開けたとき、アルナスに白い布を見られてしまった。

彼は王子だから、もう想像がついているのだろう。

バルザンにかまをかけているかも知れない。

でも、アルナスがかまをかけても、バルザンは信じないだろうと思う。

あの日、酒で緊張を紛らすような事をしなかったら、こんな事知らずに旅を続けていたろうな。

今も知らずにいたのなら、彼との試合も、楽しく感じる事ができたろうに。


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