イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
アフィリエイトOK
発行者:桜乃花
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
隣から、母と父の声がする。

そして、父の足音。

少し左足を引きずる。

王を守り、受けた傷だった。

旅立ちの年、彼と旅をしたのが、父バルザンだったのだ。

二人は今も、運命の友として、繋がっている。

手紙が届くし、茶会にも呼ばれる。

父は、めったに王宮には行かないが、去年の夏は、ラザの代わりに、北門を守った。

その時、王と話をする姿を見て、俺は、なんだか神聖な気持ちになった。

運命の友って、すごいんだ。

ラザもリザンも父と王みたいになって帰って来るのか?そんな風に思った。



「ジルザ、ネストと話をしたって?」

俺は、親父の顔を黙って見ていた。

「また、旅立ちの季節か…。ジルザどんな訳があっても二度とするなよ。王は、この国の誇り、そして、宝なんだ。だから、何よりも大切に扱われる。彼らこそ、この国を作りし者なんだ」

俺は、親父の目を見て頷いた。

父の事を本当に偉大だと感じる。


父は、戦士の息子ではなかったが、武術競技会では、いつも決勝戦に残るような、使い手となった、キーナ家の誇りだ。

「ジルザ、お前は旅立ちを楽しみにしているだろうか?私は不安でならなかったよ」

「どうしてさ?父さんは、王子様と一緒だったんだろ?」

「お前は現王子の名前や顔を知ってるか?庶民は知らないことだが、王子は大人になるまで、身分を知らされずに育つんだ。ネストも同じだった。旅立ちの時、父と思っていた人から渡された荷物の中に、王子のしるしが入っていたそうだ。ネストは、最後の最後まで、自分が王子である事を俺には言わなかった。普通なら腹を立てるところだろう、しかし少しも腹は立たなかった。かえって、俺が味方になってやるって気持ちになった。それが友達ってものなんじゃないかな」


「今は家臣と王だけど、親友だった時の気持ちに、少しの変わりも無いんだ」


俺達も、そんな旅をするんだな。


「長い旅だ、でも二人だから」


俺の目には、自然に涙が湧いて来た。

この夏、俺とキサを待っている旅は、何十年経っても、人の心を揺さぶる、そういうものになるんだ。



理由をうまく言えないが、俺にとって父は、ラキリス王と同じくらい偉大で大切だ。
5
最初 前へ 2345678 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ