イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
二人は顔を見合わせ、表情を変えた。

しかし、偽物かもしれぬ。

バルザンはナイフを手に取り、下僕に返す振りをして、刃に刻まれた名前を確かめた。

そこにはやはり、第一王女キキと刻まれていた。

バルザンは、ネストに目配せして、偽物ではないことを伝えた。


どうする?

そのまま返せ。

二人は目で話した。

バルザンは、ナイフを、わざと乱暴に差し出した。

下僕の男は、顔を汚しているが、髪には美しい艶があり、その目には強い光があった。

男は、身のこなしからしても、ただの下僕ではない。

戦うにしたって、十分な注意が必要な相手だった。

ネストは、そのまま通り過ぎるつもりだった。

しかし、となりのバルザンの顔を見て、慌てて彼の腕をひっつかんだ。

今にも飛びかからんばかりの表情だったのだ。

「落ち着け。どうしたって言うんだ。君は急いでるんだ。忘れるな!」

「お前は黙ってられるのかよ。こいつらキキ様のトルキを放り投げやがったんだぞ!」

「いいから、本物に見えただけで、きっと偽物なんだ!もし本物だとしたら、こいつら王族だって事だぞ」




ネストの武器は、投げ斧だ。

驚くほどの力持ちで、バルザンは腕力では、到底彼にはかなわない。

後ろ向きのまま引っ張られ、宿屋の前を通り過ぎた。

バルザンは引っ張られながら、下僕役の男をずっと睨みつけていた。

彼は、さっきとは違い、少し悲しそうな目で、バルザンを見ていた。

遠ざかりながら、下僕役の複雑な顔の意味を考えた。

俺にも経験がある、試合で負けた時の、悔しさを隠した情けない顔だ。

負けた時、相手を讃える事が出来た時は清々しいが、悔しさを顔に出してしまった時の気まずい気持ちは、武術を志すものなら、経験がある。

戦いをしたわけでもないのに、なぜそんな顔をする?

どうして、負けたと思うんだ?

聞いてみたいが、ラスカニア語は勉強不足だった。

バルザンは、遠ざかるうち、諦めがついて、前を向こうとした。

その時、宿屋の主人役の男が、下僕と同じ顔をして外に出てきたのだ。

バルザンは、とっさに感情を口に出した。

もちろん、エジト語で。

「お前ら、用があるなら、さっさといってみろ」

バルザンの声に答えて主人役の男が何か言った。
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