イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「初めは、セラ様の命を守るためだった。しかし、朱璃様は、だんだんとセラ様に惹かれていった。私は、朱璃様が本当に幸せになるなら、それでよかったのに。やがて、いろいろな相談を受けるようになった。愛を分かち合った夫婦にだって、うまく行かない時はあるんだろう。でも、普通は、二人で乗り越えるしかない。けれどお二人には、私という邪魔者がいたというわけだ。旅立ちを控えた君には、言いたくなかったが、聞かれては仕方がない。知るならば真実の方がいいと思う」

先生は潔く、俺にはとても清らかに見えた。

「誰のせいでもないのに、歯車が外れていく。そんな事は良くあることだ。私は、朱璃様にも、セラ様にも幸せになって欲しいと思う。しかし、お二人の幸せをじゃましているのは、私なんだ」

先生は、苦しい表情を浮かべたまま、口ごもった。


「先生、俺が何を話したかったか分かる?俺は、何年経っても先生が恋人を持たないのは、ふるさとに恋人があるせいかと思ったんだ。先生にそんな悩みがあるなんて知らなかった…先生は…まだ朱璃様を好きなの?」

「…」

先生は、自分に聞くように、しばらく黙っていた。



「朱璃様への気持ちが、恋心だったのか、今はそれさえ分からないよ。しかし、朱璃様がセラ様と結婚した時から、私は、朱璃様のものではなくなったんだ。そう思っているよ」

先生は、窓の外の、少し欠け始めた月を見ていた。

「先生、花嫁をもらえばいいんだ。俺はそう思うよ。俺はまだ子供だ。先生に剣を向けたとき、はっきり分かった。でも、子供だからこそ、正しい時だってあるでしょ?朱璃様を、今も恋していないなら、花嫁を貰えばいい。違うかな?」

先生は、外を向いたまま少し笑った。

なんだか明るい笑顔に思えた。

「前向きで、しかも一つしかない正しい答えかも知れない。私の恋心は、朱璃様が彼に惹かれ始めた時、引き裂かれて死んだんだ。私は今まで、振られたことを認めたくなかったのかも知れないな。君のように若い戦士に言われるまで分からないなんて、情けないよ」

先生の表情は、目に分かるほど明るく変わった。

「先生は、イルバシット人は嫌い?先生の事を好きな人はたくさんいるよ」

「たくさんて、いい加減な事を言うなよ。振られた後は、傷つき易いんだぞ」

先生は、本当は泣きたいのかも知れない、俺は、そう思った。
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