イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「確かに、リザンの方が優秀だ。それはわかっています。でも私は諦めきれません。稽古をさぼった覚えもないし、競技会でも優勝してる。どうして、私では…」

ラザは、そこで黙ってしまった。

ジルザの旅立ちが及ぼした余波である。

旅立った後、一緒に王宮の庭を守る、リザンと自分の間に、どれほどの差があるのか、はっきりと指摘して欲しかったのだ。

「君は賢い赤ん坊だったんだよ。生まれて数ヶ月で、父親の名前を呼んだんだ。この国では、父親の名前を呼んだところから、男の子の年は始まるでしょ?だから皆、父親の名前はなかなか教えない。君は今まで、二つか三つ年上の戦士と競い合って勝ち抜いて来たんだよ。ラキリス様はそのことを心配なさったんだ。君が若いうちに、何も考えず過ごす日々を与えたいとおっしゃって譲らないんだ」

先生は、ほんの一瞬言い淀んだ。

「選者の中には、君こそ、トルキナスとなるべきと推す者もたくさんいたよ、でもやがてラキリス様のご意見を正しいと判断したんだ。君はやがて王を守る盾となる。しかし今は、父に仕え、妻と遊んで過ごしなさい。トルキナスの事を忘れたとき、君は、必ず成長するから」




先生は、一緒に酒を酌み交わす時の優しい目で、ラザを見つめた。


自分を推してくれたのはタンカミ先生だ、ラザは直感的にそう感じた。

ラキリス様のご意見に反対してまで、自分を推してくれたんだ。

「君は、悩む事など一つもないよ。今の勤めを果たせばよい。リザンとも、今まで通り、なんの隔てもないさ。運命の友だからね?」

先生ですか?

聞くまでもなかった。

ラザは、笑顔を見せようとしたが、寸前で失敗した。

ラザは、下を向いたまま、涙をすすったが、それはもうしょっぱい涙ではなかった。

「先生……次の休みに稽古に来ます。相手をしていただけますか?」

ラザの目には、涙ではない光が戻った。

「あぁもちろんだ」

「もしも君が沈んでいたら、説明してやれとラキリス様から言われていたんだ。リザンが王女の側近になった事はもう気にするなよ。君には君の仕事があるんだから」

優しい言葉をかけられると、また涙が出そうだった。

ラザは、暗くなった外に視線を外して涙をこらえた。

ランプの灯りを見ていると、王宮で働き始める前、ここで見張りの真似事をさせてもらった事を思い出した。

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