イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「痛っ。動くと頭が割れそうだ。どうやって帰るか…キサ、先に帰れよ。俺はもう少し休んでいく」

「そうか、まぁここなら心配いらないからな。それから、タンカミ先生から、良くやったって誉められた。二人ともだ。さっき先生と話してすっきりした。後で来るかも知れないから、君も話をしてすっきりしろよ」

「そうか、俺は、大変な事をしたんだな。考える時間なんかなかったが、普通は許されないことだな」

「先生との間に、何かしら残ったとしても、俺がいる。必ず君を支えるから、信じてくれよな」

「謙虚すぎて、気味が悪い。俺は大丈夫だよ。先生を信じてるさ」

「じゃあ、明日な。無理しなくていいが、待ってるよ」

俺は、寝台の背もたれに寄っ掛かり、キサの胸を拳で押した。

手を挙げて別れを言うキサの顔は、もう疲れてはいなかった。

俺は、スケットの裏に名前を彫り込んだ父親の心を、少し近くに感じていた。

必死で、親友の前に身を投げ出したその気持ちに、僅かだが触れられた気がした。




「先生、お久しぶりです。今日は、弟がお世話になりました」

タンカミの居室の石の扉を開けたのは、ラザだった。

僅かだが、ラザの表情は暗かった。


「バルザンの息子だ。私も鎧を着たよ」

タンカミは、ラザが沈んでいるのに気づいて、わざとジルザの話をした。

「先生。弟の迎えは口実です。相談したいことがあって来ました」

ラザは、笑顔を作るのも苦しそうにそう言った。

なぜラザが悩んでいるのかは、タンカミには良く分かっていた。

喜びは、万人に平等に訪れはしないからだ。

この春、トルキナスが幾人か勇者と認められた。

その時、戦士の中から、トルキナスが二人選ばれた。

一人は刺剣の師範サミン、もう一人は、弓のリザンだった。

取り残された。


そう思って悩むのが、自然な事だと思う。

ラザは、間違っていないし、優秀だ。

みんなより、少し旅立ちが早かっただけだと、他人なら思えても、悩んでいる本人に、それを理解させるのは大変な事だ。

「どんな相談?」

先生は、穏やかに聞く。

ラザは、自分の小ささを意識して、なかなか口に出せずにいた。

「君は優秀、誰よりも。可愛いおくさんもいる。偉大なお父さん、賢い弟。他に何が望みなの?」

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