イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
耳を澄まして聞いてみると、石を削る音じゃなく、やっぱり固い木を叩く音だ。


月の明かりで塔の周りを歩いてみると、やはり動物の姿なんてなかった。


しかし、音はまだしている。



いたちでも潜り込んだのかな?


だとしたら、床を掘られているかも知れないな。

反逆者が連れて来られたとき、使えないと大変だ。


シス様に報告しなければ。


中隊長から教えられたこと、大切な事は、自分で本人に伝える事。


相手が貴族でも、王子でもだ。



ケイはもう一度、二人は元気でいる、そう思い直して東の宮殿の正門を目指した。


幼なじみのひとりが、シス様に剣を習っている。

彼に頼めば、なんとかなるはずだ。






「お~い、ケイ!ここだ~!声が聞こえないぞ。宮殿に帰ったのかな」






捕らわれた二人は、申し合わせたように、身近にある物を壁にぶん投げ始めた。


大昔の戦い以来の、必死さである。


御守りの小さな剣から、自分の靴まで、叫びながら。


そのうちの一つが、ランプに当たったらしく、ガシャンと大きな音がした。



二人は期待したが、ケイはすでに、立木の中に歩を進めていて、全く気づかなかった。



「行ったな。でも、真夏じゃなし、幸い水筒を持ってるから、数日は安心だ。それにしても、不思議だな」




「キキ様がご無事だった事は良かったけど、わざと外したとしか思えません」


「人には、心ってものがあるからな。日陰に置いとくと腐っちまう、厄介な物がな。奴にもあったんだろうよ」


「中隊長は、奴をかばうんですか?」


「かばいやしない。でも理解しないと。これでも部下を持つ身だ。奴だって、表舞台を夢見たんだろう。血なまぐさい己の道を恨んだのかも知れないな」


「どういう事ですか?」

「そいつのせいじゃないと分かっていても、恨んでしまう事ってあるだろう?普通は家に帰って、かみさんの顔を見れば、考えるのも面倒になる。でも、家族も、友達もなかったとしたら」


「そんな。辛い事なんて、誰だってあるじゃないですか。なんで奴だけそんな」



「親父から聞いた話があるんだよ。聞いた時はなんとも思わなかったんだが…」

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