イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
アフィリエイトOK
発行者:桜乃花
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
厳しい訓練も、終わる事のない稽古も、もしかすると、戦いの為じゃ無いのかも。

俺は、キサを振り向いた。

キサの顔は、つい四、五日前より大人になっていた。

俺と同じように、いろんな人と、いろんな話をしたんだろうな。


「会えて良かった。嬉しくてたまらないぜ」

「なんだよジルザ、その年寄りみたいなせりふ。いつからそんなにじいさんになった」

「しるか。とにかく、旅はお前とする。そして一生、人は斬らない。今約束する。お前は、ただ聞いてればいいんだ」

「面白い奴だな。そんな事、口に出すなんて。君と一月も一緒にいて、平気でいられるのは俺だけだろ」

どこまでも憎たらしい奴だけど、楽しくてたまらない。

俺は、キサが好きだ。

冷静なところも、嘘を言えないところも。


「そろそろ体も温まったろう。始めようか」

先生の声がする。

向こうの広場は、こんどは、勇者ミルが相手をするらしい。

バルが先生の席に座った。


「先生、キサと打ち合いたいのです。お許し下さいませんか」

「そうか。君達の話、聞こえたよ。君の言う通り、私も剣は人には向けたくない」

先生は、今までとは少し違う。

「私は、何度となく戦を経験したが、人に剣を向けるのは、悲しいことだよ。殺すのは、もっと悲しい」

「剣は、平和を守る為にある。ラキリス王の言葉は素晴らしい。けれど、外には敵がいる。だから、身を守る術が必要。諦めないこと。信じること。冷静でいること。それが出来れば、死ななくてすむ。今から教える。君達、二人で打ち合いたいだろうけど、それは明日にしなさい。今日は私が相手。まずは、キサが先。革の鎧を着けるよ」

先生の言葉は、俺達には、夕立みたいな驚きだった。

少なくとも、厳しい稽古になるということだ。

俺は、背負って来た革の鎧を取りに走った。

キサは、俺が戻って来てもまだ、そこに突っ立っていた。


「キサ、少し小さいかもしれないが、とりあえずこれを着ろよ」

「君は、なんで鎧なんか持って来た?まったく、神懸かりだな」

「そんなんじゃない。うちの油が切れてたんだ。一月ほっといて、皹が入ったら大変だろ。ここで借りようと思っただけさ」

キサの緊張が、俺の中に染み込んで来て、俺達は、日の光の中で震えた。

22
最初 前へ 19202122232425 次へ 最後
ページへ 
ページの先頭へ