イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「さすがにこれはおかしいぞ。おい、剣をぬけ」

二人は、それぞれ、辺りを見渡しながら、廊下の奥の扉までやって来た。


声をかけようが、扉を叩こうが、誰も答えない。


「おい、さっきの棘、毒が塗られてたらしい。右手が痺れてきた。誰かやられているんだろうか。まさかドレ小隊長か…」






大隊長の詰め所として用意されたのは、外国の要人を招くための小型宮殿。


廊下にも扉がたくさんある。


扉を開ける度、恐怖が募る。


「援軍を呼んだ方が良くないか?」


「奥を開けてからでいいだろう。なんだか、人の気配がしないと思わないか」


「そう言われれば、これ。敷物がめくれたままになっている」



二人は息を合わせると、扉の取っ手を引いた。



中の空気は、熱気を帯びていて、今にも、発火しそうだ。


大きな火のランプが壁に近づけられ、壁を暖めているのだ。


中にいるはずの大隊長は、そこにはいない。


二人は目を合わせると、ランプの火を鎮めて行った。


「こんな所にも敵の手が及んでいるなんて」


「ランプを消し終わったら、奥の部屋を開けてみよう」




二人は、悪い予感を打ち払うように、奥にある宮殿の寝室にあたる部屋の扉を開けた。


そこには、眠らされた大隊長と、番兵たちが転がっていた。


ケイが戻って来なければ、この宮殿と共に、灰となってしまっただろう。


一人はエン中隊長の元へ走り、一人は、彼らの生死を確かめた。



すやすやと空気の動く音がする。


彼らは生きている。


今もこの宮殿を監視しているとしたら、どこから?


気をつけないと、敵に、われらの存在がばれてしまう。


兵士は、敷き詰められた石の上に、槇を運びながら、仲間を待った。



燃え上がる、宮殿の代わりに、焚き火をするつもりだ。


誰かが、火事だと声を出せば、それでごまかせる。


シス様が守られれば、それでいい。


サン家の不満も、アダン家の不運も、一般の兵士達には正直、あんまり関係ない。



ただ、シス様の時折見せる優しさには、もう一度触れてみたいと思うのだ。


王族のきまぐれだと思っても、この人は違うと期待させてしまう。


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