イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
気の強いリリアが、俺のはっきりしない態度に、怒らないわけはないから。


俺はすぐに行かなくてはならなくて、話は出来なかった。


しかし、さっきよりずっと近くでリリアを守れる。


俺は、見咎められないように大きく息を吐いた。


「緊張しなくていいの。国家の権力なんて、いつも狙われているもの。それでも何にも起きないものよ」


「キキ様、狙われてるなんて、そんな事平気な顔で言わないでください」

キキ様は、またにこりと微笑み、前を向いた。










「お兄様、今なんて?お兄様に斬りつけた暗殺者がレブだっていうの?」


「レブは、彼が暗殺者でいることで、私を守ってくれているんだ。大切なのは、暗殺者が本当に狙っているのがこの国の権力だと言うことだ」


「この国の権力?」


「リリア、相手の目星はついたが、確たる証拠はまだない。だから、覚悟が必要だ。試合が終わったら、お前にはレブをつける。私がどうなっても、レブを信じてついて行け」


「敵は誰?私にも教えて頂戴」


「また何も教えてくれないつもり?」




「違う。兄さんは、勝つ自信が有るんだよ。お前に言えば、レブだけでは守れない」


「そんなの嫌。ゾルジの事だって、あんな事言っていたなんて。彼は味方になってくれるのに」



「まだ目星がついただけなんだ。私は、死んだ振りをする。思い切り悲しむんだぞ。言いたくなかったが、お前の協力が必要なんだ」


「死んだ振り?そんな事が通じる相手?」


「暗殺者がレブでなければ通じないさ。でも、相手は、レブを手駒だと思っているんだ」


「レブは、命をかけて、私を守っている。いい奴なんだ。きっとお前を幸せにしてくれる」


「どんな事があっても、レブを助けるわ。宮殿の事教えてくれて、私のいたずらも代わりに叱られてくれたわ。それに、誰がレブの事好きかも知ってる。彼は、一番大切な友達だわ」


「いつまでも一緒に、二人で幸せになればいいさ」


「ゾルジの叫びを聞いた時、私心が震えたの。まるで、子供が母親を求めるような声だったわ。彼は、レブみたいに強くない。私が守ってあげたいの」


レブだって強くはない。

強くなんかないんだぞ。


しかし、声にはしなかった。

これは二人の問題だから。
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