イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
ゾラのトルキは、槍の形をしていて、ほとんど、女の子が服に飾る宝石みたいだった。

もちろん肉切りナイフとしてつかえるんだけど。


俺のは、刺剣を模しているが、束の所の細工が凝っていて、自分で言うのもなんだけど、すごく美しい。


トルキナスになったら、もっと美しい剣や、鎧を持てるのかと、胸が膨らむ。



「まぁ、なんて美しいんでしょう。あなたはすごく繊細な子なんでしょうね。友達を心配させないために、隣国に旅をして。その上、みやげ話の種に競技会にもでるなんて。優しい子。きっと素晴らしい花嫁がみつかるわ」


「私のトルキも見せるわね。女物だから、石が大きくて、戦士のトルキのように武器を模した物ではないけれど」



キキ様が懐から出したトルキの鞘は、鞘自体がトルキで出来ていて、鞘の刃側に、ラゴン家第一王女、キキ・ラゴンと刻まれていた。


青でも緑でもない色のトルキは、とても希少で、めったに見ることは出来ない。


あまりの美しさに、ため息が口をつく。


サン家の敵は、美しい武器を目にして、いくらか静まった。



まあいつでもいい。


もっと隙が際立った時で十分だ。


使い勝手の良い駒も手にしている事だし。



背後に迫っていた殺気は姿を消し、変わりに現れた暖かい笑顔で完全に隠された。


誰も、敵が王族の中にいるなんて、考えもしなかった。


今その事実が明るみに出ても、一人の力でどうにかなるものでも無いのだ。


父が健在のうちに、もっと大人になっていたなら、今とは違う人生が送れたのかも知れないのに。


敵が誰なのかが分かった時の、父の心の中を思うと、平静ではいられない。


涙がにじむのがわかる。


キキ様を守ることを考えれば、国王ご夫妻に早く報告するべきだ。


しかし、私の勘でしかない今は、味方はレブと、この清らかな心を持った子供だけ。


王家を守りきること。


リリアもレブも幸せになること。


それが、シスの祈り。


とても難しい願い。


けれど、願いをかけ、祈るほど、心のきずから生まれた、冷たい憎しみはわずかな痛みに変わり、消えて行く。


大切な家族の無念を晴らすよりも、彼らが本当に望んだ事を叶える事が出来たらいい。


それが、正しい道だ。

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