イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
複雑だった胸のうちは、大剣を背負って歩いているうち、少し和らいだ。

先生は、いるかなぁ。

僕達の先生タンカミは、ラスカニアよりずっと東の国の戦士だ。

彼は、ちょうど父と同じ年に、東に旅立った戦士が連れて来たお姫様の騎士だった。

見たこともないような美しい服を着た騎士。

剣を握らせると、父でさえ負けることがあるほど強かった。

彼は、やがて武術競技会に出るようになった。

当然のように、観客はイルバシットの戦士を応援したが、彼は臆することなく闘い続けた。

負けはしても、戦士達の信頼を少しづつ勝ち取り、いつしか、イルバシットの戦士の名前を手にしたのだった。

彼は、今も独り身だ。

先生は、イルバシットの戦士となった今も、花嫁を迎える気はないようだった。

祖国に、恋人か、奥さんがいるのに違いない。

俺はそんな風に考えるようになった。


道場の入り口の扉を押していると、隙間から、戦士たちの打ち合う剣の音が漏れてきた。

先生の声も。

とりあえず稽古はつけてもらえる。

俺は安心して、稽古を待つ戦士の列の後ろについた。

先生は、外にいて、稽古は、トルキナスのバルがつけている。

本当は、キサと打ち合いたかったんだが。

でも、道場の空気を吸ったとたん、俺の心臓は元気になった。

女々しい悩みは、すでに姿を隠していた。

輪になって待っている戦士たちの中から、友達を探した。

次の番で、反対側の広場で剣を振るっているのが、キサだった。

あいつの方が気が早かったか。

寂しい思いをさせたかな。

俺は、タンカミ先生に、キサと二人で稽古をしたいと言いに行った。


先生は、近づいた俺を見ると、椅子から立ち上がった。


「ジルザ、来たか。待っていたぞ。今日は特別に稽古をつけてやろう。少し体を動かしたら、呼びなさい」

先生は、親父より厳しい。

技も、稽古に臨む心にも、完璧を求める。

俺の体は、緊張で堅くなった。

その上、大きな声を出したい気分だ。

俺は、キサの名を呼んだ、叫びと言った方が近いほど大声で。


キサは、余りに大きな声に、苦笑いで応えた。


「どこにも行くとこがなくて、ここで待ってた。君は本当、のんびりしてるな」

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