イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
逃げ出すなら今だよ…。

これ以上首を突っ込むなら、容赦はしないよ!





僕は、暗殺剣の達人、ソナ・サンだからね。


デルタって言うのは、母の旧姓。


君みたいに甘い兵士にはあった事がないよ。









「ソナったら!すぐに知らせてって言ったのに」


目の前には、きらきらとしたドレスのリリアがいた。


「クスタリリア。これは申し訳ありませんでした。休憩時間に、ご案内をと思っていたものですから」


「その呼び方はお断りしたはずよソナ。私はアダンのものだわ」


なんだか、リリアは、昨日より更に綺麗だ。


俺の心臓は、容赦なく高鳴った。


しかし、試合を戦ったせいで、初めから汗だくで、息も静まったばかりだった。


だから、二人には、俺の心の中の乱れは見えなかったと思う。



「あなたも、声くらい掛けなさいよ!全く、刺剣は片手間の兄に負けるし!」


「…」


「クスタリリア。あまりにお綺麗だから、きっと躊躇われたのでしょう。そんなに言ってはかわいそうです」


ソナと話すリリアの目には、なんだかけんがある。


俺はそう感じた。



「クス家の姫君とお呼びするのがお気に召しませんか?」


「あなたの思う通りにはならないって言うことだわ」


「ひどいな。僕は何も考えてやしませんよ」



二人の言い合いは、俺がいなければ、続いたのかも知れない。



しかし、二人とも俺の方をちらちら見ながら、矛をおさめた。



「もうすぐ休憩時間よ、競技会にイルバシットの戦士さんが出場した時の習いで、王妃様との謁見があるの。キキ様が心配するから、余計な事は言わないでね」


「分かりました」


「余計な事とは、なんだか意味深長ですね。さすがに、王族でなくては言えない言葉だ」


「あなたは黙っていて」


したり顔もそこそこに、ソナさんは、振り向いたリヤドさんに跪いた。


ソナさんの声が聞こえるようだ、召使いにも上下が有るんです、彼に睨まれたら怖いですからね。



すでに、競技場にいた兵士は引き揚げ、五つ目まで終わったらしい的だけが残されている。


明らかに、手前の的に記された白い円の方が小さいのが、ここからでも見てとれた。

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