イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
東から、黒い雨雲が迫っていた。

振り返ると、少し小さくなったイルバシット山の山頂は、すでに雲の中に隠れている。

西風に乗って流された雲からは、大粒の雨が落ちて来た。

「塗れたくないな。バルザン、君もまだ風邪は治ってないだろ」

「あぁ、南に逃げるか。ルーコ川の事を考えると、早くたどり着きたいけど。今濡れたら、大変なことになりそうだ。ラスカニアからも、カルダゴへの道はあったな?」

「あぁ、でも、あんまり宛にはならないよ。さっきの三叉路の件を読んだだろ」

はぐれ雲から落ちる雨は、時に激しく音を出し始めた。

「バルザン、南に行こう!絶対間に合うさ。君の気持ちは、きっと彼女に通じてる。通じないわけ無いさ」

二人の若者は、互いに目を見合わせ、頷きあった。

若者は直感的に、そんなに簡単に行くわけないと分かっていたが、単純な慰めが嬉しかったのだ。

二人は、一旦西に行くのを諦めて、南のラスカニアを目指した。

ラスカニア王国とイルバシットは、絆が深い。

王家のうち、ラゴン家と、ラスカニア王国の王家、クスとは、すでに、血縁を結んでいた。

すでに、血の契りがある。



文化も、肌の色も違うのに、どちらも、血の繋がりを大切にする民族だった。

初めに、旅する戦士を守る条約を結んでくれたのも、ラスカニア王国だった。

国境には、イルバシット、ラスカニア双方の戦士が守る小さな砦がある。

旅支度の二人は、ラスカニア王国の砦の門を叩いた。

叩くと、重なった木が響き合い、きれいな旋律となった。

扉が二人の目の前に迫り、出来た隙間から、二人の大男が現れた。


まだ十五の二人には、緊張するに充分な状況だ。

「開門を願うのは君達か?」

「はい」

二人は、王から賜った短刀を差し出した。

「イルバシットの戦士か。ラスカニアの娘は、渡さんぞ!覚悟して通るがよい」

大男は、ニヤリと笑い、二人の背中を思い切り叩いた。

自分の抱くイメージと、実際とは、やはり違うんだな。

二人は、互いに目の中を探りあった。

俺達はやっぱり子供なんだ。

渡された地図の、注意事項、ラスカニアには、なるべく立ち入らぬ事。

誘われても、王宮には出向かないこと。

確かに書いてあるが、二人は、見ることなく、捲ってしまっていて、全く気づいていない。

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