イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
当時は、今とは税制も違い、庶民の暮らしは、そうとうに苦しかった。


地主は、貴族に仕えていたから、手加減がない。


レブの家は鍛冶屋であったが、苦しさにかわりはなく、体の弱い母親の為、お金が欲しいのだと言った。


競技場に出た剣士が、賞金で剣を買いに来たのを見たのが、私達を待ち伏せたきっかけだそうだ。


シスと弟のカズは、遊びをして、どちらかに勝ったら、剣を教えると約束した。


棒きれと小さな盾の戦いだ。


盾を持った者の胴体に、棒きれで触れば、棒の勝ちだ。


単純な遊びに、しばらく私達は興じた。


私達が負けることは有り得ない。


どうしたって、レブに勝ち目はなかった。


お日様が完全に沈んでも、レブは泣きべそをかきながら、棒きれを離さなかった。


「全く鈍い奴だな。ほら触ってみろよ」


カズは、さっさと帰りたいらしく、もう馬車に半分乗っている。


冗談だと思って見ていると、カズは、たいした動きもせずに、あっさりまけてしまった。



「カズ、何をやってるんだ。私は、弟子なんか…」


「うそつけ。兄さん、こいつの事気に入ったでしょう?わかるんだから」



「あるわけないだろ。だいたい、一番弟子が年端もいかない子供だなんて、有り得ない」


「だって、約束したじゃないか。なぁ君、いま確かに、ぼくのわき腹に触ったよね?」


レブは、しゃくりあげながら、頷いた。


あの時のレブが、本物。

私には、それしか信じられない。











「晩餐会、楽しみにしていますよ。サイラス宮殿は、私の一番好きな所の一つ」



「キキ様。こんなところにおいでになっては。今すぐ、玉座に」


「大丈夫。あなたが毎日鍛えている、騎士達が守って下さいます。立派な騎士団にして下さいましたね」


「身に余るお言葉です」


「お父上は、あなたを自慢していますよ。きっとカズもね。そして、三人であなた方を守っているのね。私も夫も、感謝しています。これからも、この国を頼みますよ」


「御意」


「リリア姫は綺麗になられましたね。恋をしているのかしら。私が、初めてカザルス王子に会った時みたいに」



シスは跪いたまま、王妃を見上げた。
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