イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
俺は、見るからに精悍な顔立ちで、体も大きいシスと同じ山と知って、かえってやる気が出た。


ラスカニアの奴らは、半分やる気を無くしているはずだ。


出来れば、シスを負かしたくはないはず。


ならば、俺が勝ち上がってやろう。


シスの馬車で揺られながら、俺は、上機嫌だった。






右手の傷が無ければ、この子は、私に勝っていた。


優しい子なんだ。


傷が癒えた事を知らせれば、本気で向かって来るだろう。


どうやって知らせようか、シスは、少年を、自分の右側に座らせた。


「そうだ。これが、革鎧の下に着る指定の服だ。私には小さかったのが、一組余っていたから、着てみるといい。こんな事で時間を取られる事はない。ラスカニアの兵士は皆持っているものだからな」


シスは、右手で肘掛けを開け、用意してあった、競技服をゾルジに渡した。


右手には、傷跡は残っているが、すでに毒は抜け、力も戻っている。


少年は、私の腕をじっくり見極めたようだ。


「上だけでも着てしまったらどうだ」

私は、手伝ってやるつもりでそう言った。


「そうだね。丁度良さそうだ」


でも、始めから、この服は、だいぶ小さいように見えた。


これは、誰の服?


俺は、服の本当の持ち主について、聞いてはいけないと直感した。


いろいろあったって、ミナさんも言っていたし。


自分だったら、聞かれたくはないし。


でも、俺はがまん出来なかった。


受け取った服は、新品じゃなかったから。


「これは、あなたの兄弟の服だね?彼は出場しないの?」


シスは、少しだけ顔を曇らせた。


「弟の、カズの物だ。あいつの出ている時には、私は勝てなかった」


「へぇ。今回はお休みか」


「もういない。三年前、父母の後を追うように、去ってしまったんだ」


俺は、もう後には退けなくなって、アダン家に起きた不幸を聞く事になった。


どうしてシスがすべてを話すのか、分からないままに。



「そうだ。剣の刃は潰してあるが、傷になったらこれを塗っておけ。跡が残らない」


どうしてそんなに親切なんだ?


俺はそう聞かずに下を向いた。



「レブには気をつけろ。あいつは私より強いぞ」

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