イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
本当は、話したことの全部が真実じゃないけど、母さんがいつも言うように、聞かない方が良いことだってあるんだ。


ミナさんが困る様なことを話す必要はない。


俺の父さんは、無口なんじゃなく、むやみに話す事を禁じられている。


それが城門の門番の掟だから。


言葉を禁じて、秘密の漏れるのを防いでいるのだ。


門番が言葉を交わせるのは、僅かな近しい人だけ。


しかし親父は、言葉でない、いろいろなサインを持つ。

だから俺達親子は、気持ちを見せるのに、困った事などない。


ミナさんに、余計な心配をかけないためには、無口なんだと言っておくのが一番だ。







暖かいスープは、腹に染み渡る。


おれは油断して、思わず息を吐き出した。


「ため息だぁ!」

一番下の子が笑顔で話しかける。


「兵士は、そんなのいけないんだよ!」


ラスカニア語だからわからないけど、雰囲気は分かる。


ため息は、ラスカニアでも、気の抜けてる証拠なんだなと。


俺は、子供達に笑顔で話しかけた。

可愛らしいこの子達と、仲良くなりたかったから。


「そうだね!油断はだめだな」


ミナさんが何か言うと、子供達は楽しそうに笑った。

「なんとなく通じるものね!言葉自体はあまりにていないんだけどね」




「そうだね。俺も、最近まで子供だったから。お嬢さん達、みんな可愛いいね!冗談じゃなく、リリア様に似てる」


「あら、私は?」


ミナさんは、そんな風に言って、にこりとする。


そりゃあラスカニア人だもの、うちの母さんよりは似てるさ。


俺はそう思ったものの、もう一度、ミナさんの顔を眺めてみた。


すると、リリアのお母さんは、ひょっとしたら、こんな感じかも知れないと思えてきた。


確かに、良くにている。

大人と子供だから、感じが違って見えたけど、目も、輪郭もよく似てる。


「やっぱり、似てないわよね。三姉妹のうち、母さんだけ、父親似だもの」


「ミナさん。三姉妹って、誰の?」


「王様の三人の妹の事よ」


「冗談でしょ!それじゃあミナさん、王族じゃないか!」


「違うわ。父さんは、王族じゃ無いからね。私はれっきとした庶民よ」


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