イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
アフィリエイトOK
発行者:桜乃花
価格:章別決済
章別決済は特定の章でのみ課金が発生いたします。
無料の章は自由にお読みいただけます。

ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

アフィリエイトする
マイライブラリ
マイライブラリに追加すると更新情報の通知など細かな設定ができ、読みやすくなります。
章一覧へ(章別決済)
イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
どんなことがあろうと、お前だけは、俺が守ってやる。


父上、母上があんな事になって。


それでも、お前だけは。








シスは、宮殿の前で心配そうに待つ二人の弟子に、笑顔を見せた。



「私が、不覚を取るとでも思ったか?」


シスがそう笑うと、二人の弟子は、素直な羨望の眼差しを向けてくれる。


私は、幸せものだ。


だが、守るべき物の大きさを考えると、胸が騒いだ。







西の国から姫君が来た時、父上はこの国は変わるぞとおっしゃった。


王妃の働きで、ある法律が成立したのだ。


納められた税金が、庶民の元へ帰る、画期的な法律だった。



長い歴史を持つラスカニアは、王族も貴族も、判別に迷うほどに増えていた。


彼らを養う為の税金は、庶民を苦しめ続けていたのだ。


そして王が、その位を譲る時には、いつも、暗殺の匂いがした。


武力で国を大きく育てて来たラスカニアには、すべてを武力で解決しようとする気質が出来上がっていた。


この国の貴族ではない妃をむかえた王の時代。


まず、王の側近の身に不幸が続いた。




それがシスの父親だった。


三年前に亡くなった、弟のサナだって。


弟はそんな事感づかず逝ったけれど。



思い当たるのは。



王家と繋がりのあるすべての貴族が悪意に満ちて見えた。


自分たちの親族さえ、父母の仇に見えてしまう。








「さっきの少年は、なかなか強い。レブ、お前は、刺剣の試合に出るだろう?お前と手合わせ出来るくらいまでは勝ち上がるだろう。勝った方にリリアをやる。奴と対戦するまで、絶対負けるなよ。お前の山には、多分、隊長のリジェ・カロルがいる」


「…シ シス様?ななんて事を?リリア様を、そんな事いけません。リリア様をかけるなんて…。だいたい、私がリジェ様に勝つわけ無いじゃありませんか?」


「じゃあ、闘わずして、リリアは少年のものだな。ずっとリリアを見てきたのに、それでいいのか?」



「シス様…。」



「お前の家には王家との繋がりが無い。だからリリアに男の子が生まれても安心だ。頑張れよ、レブ」



149
最初 前へ 146147148149150151152 次へ 最後
ページへ 
TOP