イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
俺の師は、実戦を前提とした鍛錬の一つとして、違う武器同士の稽古を好んだ。


だから、こんな試合は得意なはずなのに。


俺は堅くなり、全く力が出せずにいた。


運命の友ゾラとは、練習試合で初めて武器をあわせた時からの付き合いだ。



この試合を見たら、笑い出すだろうな。


そして、落ち着け。

いつもの呼吸を思い出せ。

笑いながらそう言うだろう。




いつまでも片手で剣を握っている彼に、本気を出させてやりたい。

焦るほど、自分がみえなくなる。


シスの右手には、まだ新しい傷がある。


町で会った時は、リリアの事を、右手で引っ張っていたから、大したことはないんだろうけど。

彼の身に、何かがあった事は確かなんだが。


俺は、簡単にあしらわれる悔しさと、イルバシットの戦士の誇りを守りたい気持ちから、ますます力んでいた。


普通なら、彼の右側を狙えばすむのに、俺は闇雲に左手に握られた剣を打ち込んだ。


「少年よ。私の右腕が気になるのか?利かぬ訳ではないぞ。お前には左手で充分とそう思うだけだ。かかって来ぬなら、私から行くぞ」


俺は完全に馬鹿にされていた。


落ち着けと言うゾラの声は、もう届かない。


俺は、彼の故意に作った隙に吸い込まれるように、打ち込んでいった。


彼は一度も息を乱す事なく、俺の剣を打ち払った。


ひたすら防御の体制だった。


打ち込まれるたび、押し込まれた。


負けるのか…。


そう思った時、今年の春、俺を師に選んでくれた、弟子の顔が浮かんだ。

俺には才能があった。


十三の時師の所へ入門し、二年足らずで、師範の資格を得たのだった。


そして、今年、初めての弟子を持った。


こんな負け方をしたら、ゾラには話せても、弟子のサガンには、話して聞かせられない。


俺は少ない経験のすべてを動員して、勝つ道を探した。


師が言っていた。

いつも、強い方が勝つとは限らない。


勝のは経験を活かす才能を持っている方、より賢い方だと。


俺には経験は乏しいが、ゾラとの試合の時、話ながら打ち合う事には慣れていた。


それを活かしたらどうなるだろう?


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