イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「私は、イルバシットの戦士ゾルジ・バナーだ。道場の空気が吸いたくて歩いて来た。一緒に剣を振らせて貰えないか?」

返事が無いことを覚悟して、そう呼びかけた。


しかし、俺の意に反して、すぐに答えがかえって来た。


「お前は…。稽古がしたいなら、私が相手をしてやろう。ここは訓練場だ。刃のない剣もおいてある。ここに来て、待っていろ」


彼は…。まさか、リリアの兄上様か?


貴族になんか用はないと思い、あの時は、よく顔を見なかった。


それにあの時と違い、今は部下らしき兵士と同じ服装だった。


俺の心臓は、素早く臨戦態勢をとる。


僅かな時間で、全身が目を覚ました。


剣を振るいたい。


相手なんかいらないと思ってた。


でも、相手がいるなら、負けるわけにいかない。


心臓は高鳴り、そして精神は静まって行った。


「ゾルジ・バナー、この剣を貸そう。二本とも確かめるがいい。私は、ラスカニアの騎士団長シス・ラダンだ。鎧は着ないが、手加減はいらない」


彼の差し出した剣には、刃がついていない。

それに、細身で長さのある、俺の得意とする剣だった。


彼は弱いようには見えないが、俺は、貴族の隊長殿になんか負けない。

内心は、もう勝った気でいた。


イルバシットの貴族とは違い、大国の貴族というのは、剣は形だけのお飾り、鍛錬はされてない。


そんな話を聞いていたからだ。


シスには隙はない。

しかし、打ち込めばすぐにぼろが出る。

なぜそんな風に考えたんだろう?


実戦の経験が乏しかったからとしか、理由は見つからない。







「刃はないが、骨は折れることがある。だから、油断するなよ、少年。必ず、剣で避けるんだ」


シスは準備が整ったら、来いといい、部下に何か言って剣を構えた。


部下は、少し不満げな顔に見えた。


まだ始まったばかりだったんだろうか。


隊長殿は、新参者に興味津々。

稽古を放り出されたら、怒って当然だ。


そして俺は違和感を感じ始めた。

どうして、暗い中稽古を?


それもたった三人で…。

結論が出ないまま、俺は剣を構えた。

少年と呼ばれた事に怒る事も忘れて。


松明は明々と燃え初めて、彼の顔をハッキリと映し出した。

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