イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
ゾルジは、気を遣い、心配しながら待つ友の為、旅の目的地は、極近い国に決めた。


どこの国にだって、自分を愛してくれる人も、敵もいるものだ。

訪ねる事に決めたラスカニアにも、自分の恋人になってくれる娘は必ずいる。


旅立ちの日は、涼しい日だった。

雨は落ちては来なかったが、初夏としては、寒い位の風が吹いていた。

両親におくられる時、ゾラの母君が危篤に陥ったと聞いた。

「ゾルジ、せめて共を連れて行きなさい。ゾラ様からも、そう言われてるのよ」

「いや、母さん、すぐに戻るから。母さんは、来られない友達の代わりに、お供を連れて旅をするような奴を好きになるかい?」

「そんな屁理屈を言うんじゃありません。お供がいようがいまいが、花嫁は、見つかる時には見つかるの!一人旅がどれだけ危険なことか、あなたは知らないのよ」


「母さん、僕は、トルキだけでも戦える。戻ったら、トルキナスの称号をもらえることになってるんだよ!危険なことはしない。だめなら諦めてすぐに戻ると約束するよ。だから一人で行かせて」


ゾルジは、一人で旅をする事が、ゾラへの礼儀だと思っていた。



そして結局は自分の考えを押し通し、薄曇りの空の下、一人で龍の喉に入ったのだった。


ゾルジの母親は、胸騒ぎを抑えきれず、自分のトルキに、息子の無事を祈った。


一般の戦士の花嫁に与えられるトルキは、王族の女性の持つ短刀ではなく、トルキそのもの、宝石である。

ゾルジの母、サーナも、戦士サイ・バナーの妻になると決めた時、王ラメル・シエラ・イルバシットから、楕円形の美しトルキを受けた。

宝石には、まだ読めない文章と、カルダゴ語でサーナと書いてあった。


刺剣の使い手サイ・バナーの美しき伴侶サーナよ、いつまでも幸せに。


読めるようになると、トルキはますます大切になった。

そして、ふるさとの両親や、子供達の健康を願う時、その青紫の石は、サーナを勇気づけて来た。

今日も、二人目の息子、ゾルジの無事を願うが、サーナの不安を拭いさることは出来なかった。


「あなた、ゾルジの後を追って下さらない?嫌な予感がするの」


「サーナ、親なら誰でも不安なものだ。だからこそゾルジを信じてやるべきじゃないか?」


サイはそう言ったが、サーナは引き下がらなかった。
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