イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
悔しさに湧き上がった、辛い涙だ。

トルカザは、父親を取り戻したかわりに、人生の手本を失った。

悔しさをかみしめたあとには、寂しさが残った。







アルナスが近づ来た時にはすでに、リャウドは扉に手をかけていた。


アルナスは、扉が開けられる気配に、身を隠した。


リャウドとの付き合いは長い。

初めて役についた時は、アルナスの側近だったのだ。


アルカザンの歴史をリャウドから習った。

トルカザが無花果の花を口に出来ないことも、彼から聞かされた。


リャウドは許されなかったのか?


リャウドの足音が消えてから、アルナスはそっと扉を開いた。







「…」

無言のまま、トルカザの目を覗きこんだ。


トルカザの目の中には、いろいろな感情が存在した。


寂しさ。悔しさ。悲しさ。そして強さ。

アルナスは、リャウドが追放されたわけではないと感じた。

「寂しくなるな…」

「別れは出来たの?」


「いや、涙を見せる訳にはいかないから、柱の陰に隠れたんだ。リャウドには分かっていたかも知れないけどね。リャウドはどこへ行ったんですか、お祖父様」



「サラドの処へ修行に行かせた。何年かすれば、また城に上がるようになろう」



やっぱり、言葉をかけてやれば良かった。


そんな思いとともに、アルナスの目に涙が浮かんだ。


「どうしてさ。涙はいけないこと?お別れくらい、誰だって寂しいだろ?」


「僕は、この国を治める人間だ。その時には、リャウドをも従えなくちゃならない。お前とは違うんだよ」


「…リャウドは、兄様に手紙で挨拶するって言ってたよ。すごく寂しそうだった」

トルカザは、涙をこらえ、そう言った。

「そうか。きっとすぐに会える。リャウドが無事でいてくれて、僕は満足だよ」







すぐそこで、孫達の声が聞こえる。

夫の声も。


私の精神は、肉体の深い眠りに引き込まれそうだ。


早く彼らを呼んで。






兄の毅然とした態度が、トルカザには受け入れられなかった。

兄様はいつだって格好が大切なんだ。

アルナスに腹が立って背を向けた。

すると、見慣れたはずのお祖母様の顔が気になった。

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