イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
体は動かないし、目も開かないが、彼らのひそひそ声が聞こえていた。

こいつは初めからおかしいんだ、とか、魔物がいているに違いないから、触るなとか、笑いが込み上げて来そうな声が俺の耳に届いた。







しばらくすると、ネストの声がした。

間違いかな?

でも、バルザンと俺の名を呼んでる。


「バルザン、どうした?しっかりしろ!目を開けるんだ!」

友の声は、はっきり聞こえたが、俺は、目を開けることが出来なかった。


「どうしたっていうんだ。バルザンは、こんな平らな道で落馬するような男じゃない」



「馬車に運ぼう。彼はこのところ普通には見えなかった」

アルナスがそばに立っていた。


ネストとアルナスは、バルザンの体を何とか起こし、両脇に潜り込むと、そのまま立ち上がった。


近衛兵達は、馬車の御主の後ろの扉を開いて、二人をそこへ導いた。


座席にバルザンを寝かせると、彼はうめいた。


「…キキさま…」


「バルザン、キキ様がどうかしたのか?」


しかし、ネストが呼びかけても、彼はピクリとも動かなかった。


バルザンを見ても、彼が息をしていることしか分からない。


「アルナス、城に着いたら医師を頼む。心配をかけたせいかな…バルザン。こんな事、一度だって無かったのに」

「あぁもちろんだ。彼には大切な用があるんだからね」






二人は馬車に戻り、密やかな声で話を続けた。


「バルザンに用ってどんな事だ。僕に用があるんじゃないのか?」


「君とは、第一王子として付き合いたいだけさ。君が彼に知られたくない気持ちが分からない、隠すべきじゃないだろ?僕が彼なら言ってほしいな」


「僕の身分を知っても彼は変わらないだろう、でも僕自身が変わりたくないんだよ」


「複雑なんだな。でもアルカザンにも、理解出来ない事はある。これから、父の部屋で見ることには驚かないでくれ。きっとすごく驚くと思うんだけど」


「どんな事なんだ?君が前置きをするなんて珍しい。いつもいきなりなのに」


「おばあ様が亡くなった時、マーキス王が来た。おばあ様の弟君だ。マーキス王は悲しんでいたよ。僕達も。でも悲しみの意味は違っていたんだ」

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