イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
リャウドには命を絶つ気がない、それが分かっただけで、トルカザは安心出来た。

「お父様も目覚めたの?戻るんだね。あの時に」


「アルカザ様は、明日の朝日を浴びた時目覚めます」


トルカザの顔を見ていると、リャウドはやはり、自分の罪の重さに逃げ出したくなる。


しかし、父の考えは違った。


この国の為に強くなり、命を捧げて守り抜く。

それが、最愛の父サラドの命令だ。

リャウドの罪をすべて知った上での命令だった。


「リャウド、あの時、君は、死ぬつもりだったの?」


独り言のように小さな声だった。


否定しなくては、リャウドは自然にそう思い、自然な嘘を口にした。


「アルナス様にも、トルカザ様にも、王室が、誰かに狙われている事を分かって欲しかったんです。それに、私は、トルカザ様より症状が軽いですから、あのくらいで死ぬことは出来ません」


嘘だと分かっても、追求する気にはならなかった。


リャウドのことは、本当に良く分かってしまうからだ。


悪意は一つもなく、ただ、何かを守る為の嘘がある、そう分かるのだ。


だから、複雑に絡む感情の中には、嬉しさもあった。


「リャウド、君が死ぬんじゃないかと思って追いかけて来たんだ。おばあ様は?もう話が出来るかい?」


「私は、キキ様には術をかける事が出来なかったんです。キキ様に症状が出たのは、イルバシットから帰ってからすぐでしたから、やはり、あの赤い石の他に、イルバシットで何かあったのかも知れません」


「…そうなの?おばあ様はまだ眠りの中…」


「トルカザ様のせいじゃありません。キキ様からは、とても大きな力を感じていました。しかし、その力が何なのか、今も分からないのです」


「イルバシットの王子がいつか来るからって、おばあ様は言ったんだ。彼らがそうだといいのに」


こんなに無防備な感情のやりとりは、王子達が子供の頃以来だった。




しかし、彼らを欺いている事にかわりはない。


ただ、皆が目覚めただけ。


私は、苦しみをはねのける程の強さを持たねばならない。


それが貸せられた罰なら、耐えねばならない。


そこに、寝ぼけた顔のスミルが入って来た。


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