イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「なるほどね、信じていると言うわけか。だがここはアルカザン。イルバシットの法は通じない。それに、城の中は敵で満たされているかも知れない。トルカザはおそらく、何かを掴んで城へ戻ったんだろう」

話は、だんだん大きくなり、アルナスの顔色も変わった。

ネストは、アルナスの悲しげな顔を見ているうち、試合なんかどうでも良くなった。


元々急ぐ旅だった。

僕が…


迷っている間に、大王とアルカザの妻ミナスが僕達に近づいていた。



「すべて、我が一族の身から出た錆、イルバシットの若者に解決してもらうことになろうとはな。孫の無礼を許し、試合を止めて、城に戻ってくれまいか。始まりは我が義妹の罪。だが今は、見て見ぬ振りをした私の罪だ」


「お祖父様。それは…」


「あの毒も、すべて?」


「違うんだ。その事に気づいた我が友が、義妹を説いてくれた。しかし、彼女はかえって怒り、彼を狙ったんだ。私は彼を追放するしかなかった。義妹の事は、いつか説得するつもりでね」


ネストは、自分が聞いてはいけない気がして、槍をその場に置いて、下がっていた。


どの国にも起こり得る辛い問題だった。

「アルナス、あの毒の事、良く考えてごらん。どうして彼の口に入る事になったかを」


「まさか…」


アルナスはそれきり口を利かなかった。

ネストは心配よりもむしろほっとして、アルカザンの王族の後に従った。








どうしてだい?


あの時、君は死ぬつもりだったの?


もっと早く気づいてあげたかった…


トルカザは、風に涙を飛ばしながら、城へ急いだ。


考えれば、単純な謎解きだった。

あの時、僕の皿の果物をどうしてリャウドが食べたのか。

どうして彼が倒れたのか。

始めから、殺す気なんかなかった。


その事に気づくのが遅すぎたんだ。


辛かったろう。


トルカザは、闘技場を出て行くリャウドの後ろ姿を見た時、自分の心の声を聞いたのだった。


前から分かっていたことだった。


同じ無花果の花を食べられない体質だったのを、リャウドは自分で知っていたはずだ。


君は、早く見つけて欲しかったんだね。


トルカザは、悔しさに飛び散る辛い涙をあじわいながら、リャウドの命を思った。

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