イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
価格:章別決済
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
「確かに、おばあ様のお気に入りの場所だったよ。永遠の眠りにつく前はね」


アルナスは、慌てる訳でもなく、東屋に向けて歩き出した。

確かに、ガラス張りの小さな部屋には誰の姿もありはしない。

東屋は、今も美しく保たれている。



ネストはその場に止まったが、おれは、何かに引き寄せられるように、東屋に寄って行った。


アルナスは、俺が東屋に近づいていることに気づくと、足を早めた。


東屋には俺の方が近い。


中には確かに誰も居ないが、近くに寄って見ると、不自然な事が見えてきた。


花瓶だ。


キキ様が好きだった部屋に、花が飾ってあるのはおかしい事ではない。


しかし、扉の外に?

アルナスはそれを自分の体で隠そうとしたらしい、俺の視線の中を歩いている。


しかし、それだって想像でしかない。


どうして花瓶が外に置いてあるのか、アルナスに聞いたとしたら、この国のしきたりだとでもいうのだろうか。




父親が、盗賊に襲われたことがきっかけとなって、戦士になろうと決心するまで、俺は、星読みになるつもりだった。


父親に教わりながら、星の色を見たり、声を聞いたりするのが日常だった。



俺は苦し紛れに、空を見上げた。

俺の声に星が答えてくれるとは思わなかったが。




俺は、もう、花瓶にはこだわっていなかった。

花瓶など、誤魔化そうと思えばなんとでもいえるのだから。


俺はただ、何となく聞こえそうな気がして、空を見たんだ。






何も聞こえなかった。

星は、何も答えない。

しかし、別の、もっと違うものから、俺の心に、届いたものがあった。








「イルバシットの星読みよ!私はここにいる!どうか勤めを果たして!」


自分の心の声のようにも思えたが、俺の言葉ではない。


言葉の主は、女性のような気がする。



女性だとして、なぜ俺がイルバシットの戦士で、星読みの出来損ないだとわかるんだ?



この国は、俺やネストが思うより、はるかに謎に満ちている。


悔やんでも、もう俺達は、アルカザンの大きな渦の中にはまっているようだ。


もう、闘うしかないんだ。


女性の声は、今も聞こえる。


私はここだと叫んでいる。
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