イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ
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発行者:桜乃花
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2011/03/07
最終更新日:2014/09/10 23:00

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イルバシット 戦士と花嫁 約束の大地へ 第1章 イルバシット
俺は、親父が、兄貴が、そんな冒険みたいなことをして、何食わぬ顔をしているなんて信じられなかった。

だから、ニキの話しも、半信半疑。

気が変わったのは、やっぱり運命なのかな。

俺は、かあさんの隣で本を読んでいるとうさんに頼んで、少し、大剣の稽古を着けてもらった。

3 運命の友

今では、もう道場で親父に会うことはない。

足の古傷が痛み出した去年の秋から、休みがちになり、今年、根雪の固まった頃、引退すると決めたんだ。

トルキナスとして、働けなくなったから。

親父は、引退の儀式にも出なかった。

それは、不義理ではなく、王に負担をかけたくなかったからだと、俺は思っている。

親父が矢を浴びたのが、王を守るためだったからだ。

再三の宴への誘いは、出席すれば、ついつい酒に手が伸びるからと断った。

変わりに、遣わされたのが、俺達兄弟だ。

俺は門番になりたてだし、兄貴もわずか二年足らず。

二人とも、居並ぶトルキナスに見とれて、普段なら、酔わない酒に、目が回ったのだった。

親父の生きて来た世界にふれて、俺達は、親父をいっそう深く尊敬したのだった。

その時も、王と話をするなんて、なかった。

ひょっとしたら、お声がかかるかもと思っていた俺達兄弟は、目を回しながら、少しがっかりしたんだっけ。




ラザや、俺達が旅立ちを迎えたように、親父にも、旅立ちの夏があったんだな。

大剣のぶつかり合う音を聞きながら、俺は、またミナの顔を思い出した。

今なら。


親父は、達人と呼ばれた人だから、足が多少痛くたって、俺が勝てる相手じゃない。

大剣が鳴るたびに、俺の気持ちのもやもやは、晴れていった。

「とうさん、ラキリス王とした旅のこと、少し聞かせてくれないか。なんだか、すごく聞きたいんだ」

「なんだ、お前もか。ラザとも話したんだぞ。照れくさいんじゃないのか?」

確かに、さっきまで照れくさかったさ。

でも、大剣のぶつかり合う音を聞いていたら、そんなの小さい事だと思えて来たのだ。

照れくさいなんて。

危険を省みず、旅をした戦士の話は、そんな言葉で括ることは出来ないはず。


「照れくさくなんかないさ。とうさんの話、聞かずに旅立つことの方が、なんだか恥ずかしい気がするよ」


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