敦子 第二話 ~夏休み、ふたりで~
第1章 再会
さっきの橋は、川の流れがカーブしているところにかかっていた。その橋が見えないところまで来ると、ようやく敦子が立ち止まってくれた。川沿いの道路を歩いてきて、橋の脇から河原に降りて、さっきの道路の下をもと来た方向に少し戻ったことになる。
「ここが、とっておきの穴場なの」
「とっておき……?」
僕は、敦子のいう「とっておき」の意味が今イチ分からなかった。確かに、混んでるプールよりはいいと思うけど。
河原から少し離れたところに木がずーっと並んで生えていて、木陰ができている。その木立ちの向こうはガケで、その上にさっき歩いてきた道路がある。敦子は鼻歌を歌いながら木陰に入っていって、ショルダーバッグからビニールシートを出してばさあっと広げた。
用意のいい奴だなあ。
僕は河原に突っ立ったまま、そう思った。頭のてっぺんが熱い。帽子ぐらいかぶってくりゃよかったなあ。だいたい、敦子がいきなり僕ん家に来てこんなとこに引っ張ってくるからだよ。おかげで、なんにも持ってきてないじゃんか。
自分はちゃんと水着を用意してきてるんだろうけど、僕はそんなの持ってきてないぞ。どーすんだよ!
水着……? でも、着替えはどこで……あ、そうか! 敦子の奴、服の下にもう着てるんだな。
敦子が、ワンピースをがばっと頭から抜くのが見えた。
やっぱり!
……次の瞬間、僕は自分の目を疑った。
敦子は、服の下に水着なんか着てなかった。ワンピースの下は、白いブラジャーとパンティだった。そして、それも脱ぎ捨てて裸になってしまった。
敦子はたたたっと走ってきて、僕の目の前で川に飛び込んだ。とても涼しくて気持ちよさそうな水音がした。
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