ブロークン・スプリング
ブロークン・スプリング

発行者:てきーら
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2010/12/23
最終更新日:2010/12/22 22:44

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ブロークン・スプリング 第1章 誘惑
失望感と憂鬱な気持ちが日が経つにつれ徐々に募っていった。そしてついに、二年生になってまもなく由希は大学をも辞めてしまった。
それからだ。彼女の堕落した一歩が暗い影を落とし始めたのは…。
「由希、わたしとお父さんの言ってる事が聞けないの?」
「お願い、行かせて」
由希はその後、両親の反対を押し切り、田舎の県外へと一人で飛び出ていった。しかし、手元の懐も彼女の冷めてしまった心と同じく温かくなかった。週末の夜、無数のネオンがいたずらにチカチカする繁華街を人込みに紛れていると、
「姉ちゃんエエ女やな。俺いまヒマなんや。ちょいと遊ばんか」
突然背後から、茶髪でアロハシャツの派手な服装をした若い男が由希に声を掛けてきた。思わず声も出ないほど呆気に取られたが、とにかく退屈でほとんど何もすることができないでいた彼女は、ほんの僅かのあいだ躊躇った後、その若い男の誘いに乗ってしまった。これが、チンピラの早次郎との出会いであった。
「わぁ、波に乗れるのってなんかイイ感じ」
「そうそう、上手いじゃん、由希ィ」
早次郎は競馬やパチンコなどの低俗な趣味以外にもサーフィンやスノボなどアウトドアでも彼女を一時でも楽しませようとしてくれた。
「初心者コースもう慣れたから、次は中級コースで滑ろうっと」
「やるじゃないか、由希。その調子、その調子ィ」
ひとはどう変わってゆくのかわからないものである。去年の鬱憤ともいえる気持ちを晴らそうとでもするかのように、由希は早次郎とのふたりの時間に染まっていった。嬉しいトキも悲しい時も、彼女は知らず知らずのうちに若いチンピラの男と一緒であった。
だが、その由希にとって幸せと思える時間もそう長くは続かなかった。ある日の夕暮れ、彼女が買い物から帰ってくると、某消費者金融からの督促状が郵便受けに入っていたのであった。
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