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第13章 ひとみVS禿沢&シモーナVS俺
つるっ。
…あ。ひとみの言葉とほぼ同時にすっぽ抜けるように俺の手から輪が外れた。
ふわりと空中を舞ってぽとりと地面に虚しく落ちる輪。
「ふ…私の勝ちだな」
「む、無効だ!今のはひとみが声を突然かけてきたから…」
「原因が何にせよ、外したのは事実だ、この勝負、私の勝ちだ、
はっはっは、残念だったなバカ、私に勝とうなど100年ほど早かったな」
「く、くそ…たかが輪投げで負けただけなのに何だこの敗北感は…」
俺はきっとひとみを睨むとひとみは軽くごめんなさいと舌を出して両手でこちらを合わせていた。
…はぁ、そんな謝られ方したら許さない訳に行かないだろ…。
「さぁ、泪乃。お前の番だ、やってみろ」
そう言うと姉貴は輪を5つ泪乃に渡す。
「わふっ」
泪乃は1つの輪を口に加えると勢いよく上半身を捻って輪を飛ばした。
しゅるるると飛んだ輪はブーメランのごとく途中で引き返して
丁度一番高難易度と思われる景品の場所へ嵌るように入った。
「わふっ」
その後4つも全く同じやり方で残り4つの景品を瞬く間に掻っ攫う。
…うわぁ、輪投げ屋の店主、呆然と見てるよ。
「泪乃のやつ…中々やるじゃないか…」
「泪乃ちゃん、凄いのです…」
こうして全景品をゲットして
「お譲ちゃんたちには敵わないなー」
と半泣きになる店主を横目に俺たちは全景品を抱えてその場を後にした。
…ちなみにカキ氷はきっちりと先に取った
「夏祭りで好きな商品一つ貰える券」で奢った。
姉貴が選んだのはレモン味だ。
1人で食べるのはあれだからとかいう理由でひとみと田辺と章太郎の分まで奢らされた。
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