飼い主募集します!
第12章 夏祭り
…正直、二人とも、凄く可愛かった。
姉貴は金髪のロングを盛っており、丁寧にかんざしまで挿している。
泪乃は犬耳を隠すように二つおだんごを作っていて、
どうも尻尾は浴衣の中に無理やり押し込んでるらしい。
うん、どこからどう見ても普通の人間の女の子だな。
「無闇に吼えるなよ、泪乃」
姉貴の言葉に泪乃は無言でこくこくと頷いた。
良い傾向だ、賢さも順調に伸びてるな。
「さて、では待ち合わせの場所に向かうとするか、
待たせてあのド変態のボディーガードの目の仇にされるのは御免被りたいからな」
姉貴はそう言うと泪乃の手を取ってさっさと家を出た。
ちなみに母さんは父さんと一緒に出かけてて今いない。
だから堂々と泪乃を連れ回せるんだがな。
待ち合わせ場所に着くとそこには章太郎が無愛想な顔で立っていた。
横には山のような綿飴を持った田辺がいる。
「何だ、もう来てたのか、お前ら」
「早く来たお陰で俺の財布は大打撃だ」
章太郎はそう言うと親指で田辺の持つ綿飴の山を指差した。
田辺は悪びれた様子も無く
「わたあめ、うまーっ、あまーっ!」
などと叫びながら今日も上機嫌だ。
「せーんぱい♪」
と、突然後ろからかなりいい衝撃のタックルをかまされて
俺は驚愕と共に後ろを振り返ると浴衣姿で抱きついてきたひとみがいた。
ショートヘアーの髪のてっぺんを小さく纏めており、
普段見るひとみとちょっと違った雰囲気がした。
「どうです?あたしのゆ・か・た!萌えますか?何ならここでどうぞ一発遠慮なくっ!」
…違った気がしただけだった。
今日もこいつの頭の中は変態な事で一杯だった。
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