飼い主募集します!
第1章 捨て犬拾いました
「まぁ、いい、それにしよう、いいか、今からお前の名前は泪乃だ、いいな?」
女の子は不思議そうに首を傾げる。
「泪乃」
「くぅ~ん?」
「泪乃」
「はっはっ」
「泪乃」
「わんっ!」
3回目で女の子は自分の名前が泪乃である、と認識したようだ。
…意外にも頭は悪くないみたいだな。
「しかし、勝手に部室でこんな不可思議な動物を飼っていいのか?」
「部長の私が認めたんだから問題あるまい」
あるだろ、普通に、山ほど。
「顧問など居て居ないに等しいし、幸い部員は5名の少数だ。
外部に誰も漏らさなければ誰にもばれん」
「…姉貴のその性格は今に始まったことじゃないから、まぁ、いいけど」
「じゃあ、そういうことで午後の面倒は頼んだぞ」
そう言うと金髪を翻して姉貴は部室を出て行こうとする。
「おいおい!どういうことだ!?」
俺は慌てて姉貴を呼び止めた。
「午前中私がずっと面倒見ててやったんだぞ、
午後はお前が面倒を見ろ、万が一脱走でもされたら厄介なことこの上ないからな」
「いや、姉貴が面倒見ろよ…」
「お前は貴重な単位の取得をバカ犬もどきのために捨てろと言うのか?
何という酷い弟だ、お前の言うとおり部室に連れてきてやって
しかも今の今まで面倒見てやっていたのは誰だというんだ?」
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