飼い主募集します!
第3章 泪乃の食事
かくして俺と姉貴は泪乃を連れて散歩、じゃない、家に帰ることにした。
泪乃は深い帽子を被らされて尻尾は無理やりスカートの中に押し込まれたまま
姉貴に引きづられるように商店街を歩いていた。
「いいか、泪乃、絶対に吼えるなよ」
「わふっ」
姉貴の言葉に泪乃は元気に吼えた。
「それを止めろと言っているんだ、駄犬」
「く~ん」
泪乃はさも
「申し訳ありません、ご主人様」
と言った様な目で姉貴を見た。
「なあ姉貴」
「なんだバカ」
「泪乃のご飯とかどうすんだ?」
そこで姉貴が立ち止まった。
左手は泪乃の右手を離さないまま右手だけを顎に持っていく。
「ふむ…餌のことをすっかり忘れていたな、そもそもこいつは一体何を食べるんだ?」
そう言ってマジマジと泪乃を見つめる。
「見た目は人間だからな…普通のご飯でいいのだろうか?
いや、体の構造関係が犬だったとしたらネギ等は不味いな…」
「とりあえず火の通した肉でも与えておけばいいんじゃないのか?」
俺がそう言うと姉貴は心底人をバカにした目で見て鼻で笑うと
「バカは何も考えずに発言するから困るな、それでは栄養が偏るではないか、
泪乃は見てくれがこれだからまだ私たちに拾ってもらえたが
これが力士のようにマルマルと太っていては貰い手がつかないだろう」
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