ふたりの彼。玩具の私
第1章 ふたりの彼。玩具の私
★
ミィナがおろおろしていると、
「ねぇ。うちで働かない? それしか無いかも」
唐突な申し出に驚いてしまった。
「え?」
「さっきまでいたお店の経営者。あたし~なのね。今度、三店舗目を出すの。手伝わない?」
「そ、そうなんですか…。え? 手伝うって…」
「うん。あなた使えそうだし~ やばいの見ちゃったしぃ~ もちろん履歴書も見るし”あっちのほう”も最高だし~。この仕事にピッタリ。うふふ」
「そ、それでいいんですか? あ、その時が来たら源氏名は”アイ”にしてもらえませんか?」
「んぁ! ちゃうちゃう、源氏名って泡屋さんとか、スナックじゃないの。あははははは あなた、おかしい」
ヒロミはお腹を抱えて笑い出してしまった。
「はい? あははははは」
ミィナは何がなんだか分からず、愛想笑いをしていたが、
「いろいろありがとうヒロミさん。ほんとに…。今、ちょっとバタバタしてて、本当は仕事も探さないといけないんです…」
ミィナがふかぶかと頭を下げると、
「はいこれ。ここ電話して。待ってるから」
ヒロミは、ニコニコしながら名刺を差し出していた。
歩き出したミィナが空を見上げると、心地良い風が吹き髪を揺らした。
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